[原子力産業新聞] 2008年10月9日 第2448号 <2面>

原子力委検討会 各方式ともMA対処は可能 分離変換シナリオを検討

原子力委員会研究開発専門部会の分離変換技術検討会(座長=山名元・京大教授)は1日の第2回会合で、分離変換技術の導入シナリオなどを検討した。この中で原子力機構は、発電用FBRによる均質あるいは非均質サイクルでも、加速器駆動システム(ADS)でも、マイナーアクチニド(MA)の量のマネジメントは可能との検討結果を示した。

原子力機構の検討は、58GWの原子力発電を長期的に継続し、2050年頃からFBRを導入、2110年頃にはFBRへの移行完了を想定。第2再処理工場は2047年に運転開始、これ以降はMAを回収し、核変換することを前提とする。

主な検討事項は、(1)全発電用FBRでMA添加燃料を使用する均質FBRの場合のMA装荷率(2)ADSまたは一部の発電用FBRで、MA割合の高い核変換専用燃料を使用する非均質FBRの場合のADSや同FBRの導入規模――など。

均質FBRの場合、軽水炉から高速炉への移行期のMA装荷率は、燃料製造時の発熱影響から制限を受ける最大5%程度となるが、平衡期には同じく最大1%程度と想定できるとした。

ADSではMAの分離状況に合わせ、8基程度の熱出力800MW規模の施設を順次投入することで対応でき、サイクル規模はFBRサイクルの20分の1程度で、MAをコンパクトに閉じ込め、多様な炉型に柔軟に対応できるとした。非均質FBRの場合は、平衡期には全体の4分の1程度のFBRが、アメリシウム+キュリウムの非均質装荷となるとしている。

今会合では原子力機構が最近の国外の分離変換について、ユーラトムのADS総合研究開発プロジェクトであるEUROTRANSプロジェクトの動向なども紹介した。


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