[原子力産業新聞] 2008年10月9日 第2448号 <2面>

安全委 ウラン廃棄物のクリアランス検討開始 加工施設の貯蔵限界等踏まえ

原子力安全委員会のウラン廃棄物埋設検討小委員会(主査=井口哲夫・名古屋大学工学系研究科教授)は2日、ウラン燃料加工施設等から発生する低レベル放射性廃棄物のクリアランスレベルの検討を開始した。

日本原子力研究開発機構では、人形峠ウラン濃縮原型プラントの12年度から計画する本格解体に伴い、多量の廃棄物が発生することから、ほぼ同時期にクリアランスを運用する必要があるとしているほか、日本原燃でも、新型遠心機導入に伴う既設プラントの撤去により、20年度頃からのクリアランス運用を見込んでいる。ウラン燃料加工事業者各社は、遅くとも5年後にはクリアランス運用を開始しないと、廃棄物貯蔵能力が限界に達するとみられている。

2日の小委員会初会合では、これら事業者合同の廃棄物発生見込みについて報告を受け、クリアランスレベルを1Bq/gとした場合、対象となる物量の約90%が金属となる試算結果から、金属に対するクリアランスから検討を行うこととした。また、原子力研究バックエンド推進センターが、海外諸国でのウラン廃棄物等安全基準の調査について説明した。

安全委員会では、自然環境中のウラン元素存在から、クリアランスレベル検討に際しては、自然環境中の濃度との関係を整理した上で進めることが重要としている。


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