[原子力産業新聞] 2008年10月9日 第2448号 <2面>

安全委 30周年で所信 この10年「試練の連続」

原子力安全委員会は6日、設立30周年に当たって、近年の原子力安全を巡る動きを振り返るとともに、今後の同委の取組について基本認識を新たにする所信を表明した。

所信ではまず、安全委設立20周年以降、これまで10年間に起きたJCO臨界事故(99年)、美浜3号機二次系配管破損事故(04年)といった人身事故発生、東京電力によるデータ改ざん(02年)や発電設備総点検(06〜07年)を通じた一連の不正事案発覚、中越沖地震による原子力発電所の被災(07年)などを掲げ、原子力安全にとって「試練の連続とも言える道のり」として振り返っている。

一方で、行政庁を監視・監査する「規制調査」活動、現場に携わる課長・当直長や原子炉安全主任技術者との意見交換会の開催、耐震設計審査指針改訂とそれに伴うバックチェック、事務局機能の強化、シンポジウム等を通じた国民への説明・情報発信など、事故・不祥事に学びつつ続けられてきた安全委員会の取組を述べた。

その上で、「31年目からの原子力安全確保」としてまず、安全規制の信頼性向上の原点を今後も忘れることなく、専門的・中立的な立場からその役割を果たすとともに、透明性を確保、国民への説明責任を果たしていく決意を述べている。具体的な取組としては、実施中のバックチェックを通じた耐震安全性の厳格な確認とそれに係わる国際基準作り、原子炉の高経年化を踏まえた安全規制の向上・高度化への課題整理、安全審査指針類の見直し、安全研究の着実な推進、六ヶ所再処理施設や「もんじゅ」の安全確保の充実・強化、放射性廃棄物処分安全規制に係わる基準・指針の策定、安全規制に係わる国際協力などを掲げた。


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