[原子力産業新聞] 2008年10月9日 第2448号 <3面>

原子力協定に署名 フランスとインド NSGによる印への禁輸解除後、初めて

フランスとインドの両国政府は9月30日、パリで民生用原子力協力に関する二国間協定に署名した。これにより、フランスからインドへの原子力機器やサービスの輸出に道が開かれたが、これは9月初旬に原子力供給国グループ(NSG)が、核拡散防止条約(NPT)未加盟で核保有国のインドを例外扱いとし、自発的な核実験モラトリアムの継続等を条件に同国への禁輸を解除したことから可能になったもの。規制解除を主導した米国が米印原子力協定の議会承認手続きに手間取っている間に、フランスはNSGの禁輸解除後にインドとの民生用原子力協定に署名した最初の国となった。

両国の民生用原子力協力に関する協議は、9月29日に仏マルセイユで開かれたインドと欧州連合(EU)の定例サミットに引き続き、30日にパリで開催された仏印サミットにおいて行われた。複数の業界リーダー達に伴われたインドのM.シン首相およびN.サルコジ仏大統領の両国首脳は、両国の包括的な戦略パートナーシップ強化を目的に幅広い分野の協力について協議し、複数の了解覚書(MOU)を締結している。民生用原子力分野の協力についてはインド原子力委員会のA.カコドカル委員長とフランスのB.クシュネル外相が協定に署名した。

両国の協同声明の中の原子力に関する部分ではまず、安定的に持続可能で効率的かつ豊かなエネルギー源として、原子力を含めた技術開発の促進が必要という点を確認。

そうした中で、両国はインドに対する国際的な民生用原子力協力の枠組みを調整した複数の合意を歓迎するとともに、エネルギーと研究の分野における広範囲な協力の基礎となる二国間協定の締結を歓迎している。

シン首相はサミット終了後のプレス発表で、「今回の署名により両国の戦略的パートナーシップは新たな局面を迎えた」と述べてその意義を強調。NSGによる規制解除後、フランスが初めてインドと二国間の原子力協力協定を締結したことを讃えている。

インドはこのほか、EUとのサミットの結果として、地球温暖化防止のための共同行動計画(JAP)を公表している。


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