[原子力産業新聞] 2008年10月23日 第2450号 <5面>

原子力グローバル展開の課題と展望(上) サプライチェーン世界戦略 【スポット】(株)コトヴェール社 ハイテク防護システムで参入へ

原子力発電の国際展開が世界各地で注目されている中で、保障措置(核不拡散)、原子力安全、核セキュリティー(原子力防護)のいわゆる「3S」の重要性が求められ、国内でも新たな最新ハイテク技術を掲げて、原子力施設などへの統合警備システムの参入に力を入れている企業もでてきている。東京都勝どきに本社を構える「株式会社コトヴェール」(岡野義昭社長)社だ。

フランス語で「緑の低い丘」を意味するしゃれた名前の同社は、1993年6月設立の若い会社だ。統合警備システム、指紋照合システム、電磁波による情報漏えい対策、雷・サージ対策、微弱信号高速受信・解析システムなどの開発、製造、販売を手がけている。

特に原子力施設への参入を考えているのは、米国航空機製造会社のノースロップグラマン社と提携している統合警備システムで、米空軍のセキュリティー・システムを応用しているため、原子力発電所や空港、港湾などの警備も小規模警備の範疇に入るという。

同システムは、警備対象に応じた最適なシステムを構築でき、監視員が最適な判断を短時間で下せるようにデータを分かりやすく加工・表示できる。各種センサー、監視カメラ、複合ゲート、入退出管理システム、統合管理装置などからなる。

一番の売りは、光ファイバーを既設、新設を問わずにフェンスに張り巡らせ、フェンス全体の振動を検出して、侵入者の振動と、子供のいたずら、風、近くを走行する車両などによる、言ってみれば」雑音」を区別し、警報を鳴らせたり、監視カメラの撮影方向を該当箇所に向けたりするもの。

従来の検出方法と大きく異なるのは、フェンスを登り超えようとする侵入者の手足の圧力、光ファイバーはもちろんフェンス自身の切断、振動を光ファイバー1種類で検出が可能なことで、一度敷設すればケーブル寿命は約20年はもつ。既設のフェンスにも光ファイバーを敷設し、各現場に合わせて、発生するさまざまな音を選り分けシステムに登録することで、対応が可能。

同時に複数侵入の検知が可能で、適用範囲が広く、誤警報確率が低く、気象の影響を受けないなどの特徴も持つ。1セット数千万円。

同社では、日本国内では自衛隊の基地などにすでに納入実績を持っている。


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