[原子力産業新聞] 2008年10月30日 第2451号 <1面>

「日本のペースで進めたい」 日印首脳会談シン首相が原子力協力で

来日したインドのマンモハン・シン首相と麻生太郎首相(=写真)は22日、都内で会談し、「日印戦略的グローバル・パートナーシップの前進に関する共同声明」と「日本国とインドとの間の安全保障協力に関する共同宣言」に署名した。

パートナーシップ共同声明では、「両国のエネルギー担当大臣が、各々の原子力エネルギー政策の見解と情報をやりとりすることを確認した」とし、原子力が「地球規模で増大するエネルギー需要に対応するための安全かつ持続的な、汚染のないエネルギー源として重要な役割を果たし得るという認識を共有した」としている。国際的な核軍縮・不拡散の取組みが強化されるべきとの点でも一致した。

一方、安全保障協力の共同宣言では今後、外相間、外務次官間の会合のほかに、局長級による軍縮・不拡散協議、民間戦略対話を行う方針を盛り込んだ。

署名後の記者会見で、麻生首相は冒頭、「両国の民間部門において、経済交流のさらなる拡大への期待が極めて高いとの認識を共有した」と強調。

シン首相は米印原子力協定について、「国際原子力機関(IAEA)の場や、原子力供給国グループ(NSG)を通した日本政府の支持に心から感謝している。日本との協力も進めたいという希望を持っているが、この問題が日本にとって非常にセンシティブな問題であるということも認識している」と語った。また「私どもとしては、日本政府ならびに国民が安心できるペースで進めて行きたいと申し上げた」と述べた。

麻生首相は、「今回は、日印原子力協定に関する議論を行っているわけではない」と断った上で、シン首相に対して、インドの核実験モラトリアム継続を含めて、約束と行動をしっかり実施することを求め、将来の日印原子力協定については、「さまざまな要素があるので、考慮する必要がある」と伝えたことを明らかにした。


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