[原子力産業新聞] 2008年11月13日 第2453号 <3面> |
英・ロールス・ロイス社 UAEの原子力計画支援7月に民生用原子炉市場への参入を宣言した英国のロールス・ロイス社は4日、アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビが同国の潜在的な民生用原子力開発利用計画の支援拠点となる産業機能を有しているか否かについて評価する作業をUAEの「首長国原子力会社(ENEC)」と共同で進めることになったと発表した。両者の了解覚書(MOU)はアブダビで調印済みとなっている。 将来のエネルギー不足に対する懸念からUAEは今年4月、原子力の平和利用を実施するための評価と可能性のある開発方針を公表。ENECはこの方針に沿って現在も組織形成の途中段階にあり、正式に発足すればUAEを構成する7首長国の1つであるアブダビ首長国政府の機関としてUAEの原子力発電計画を牽引、監督していくことになる。こうした構想の中でアブダビ首長国は、UAEの潜在的な民生用原子力開発利用計画における機器・設備に関して専門的知見や機能の面で中心拠点となることを目指しており、今回、その潜在的な能力について評価を行うことになったもの。 一方、ロールス・ロイス社は民生用および防衛用の航空宇宙産業やエネルギーなど、あらゆる事業分野で中東におけるプレゼンスを徐々に増大させており、アブダビではすでに、政府系ファンドであるムバダラ開発公社傘下の企業と複数の協定を締結。同国の国営航空会社であるエティハド航空やアブダビ航空技術社、アブダビ造船会社とも協力関係にある。 なお、今回のMOUは、英国のG.ブラウン首相が1日から4日間の日程でUAEを含む中東諸国を歴訪した直後に結ばれた。同首相はこの歴訪にE.ミリバンド・エネルギー相およびP.マンデルソン・ビジネス・企業・規制改革相のほか、27名の産業界代表団を伴ったことを明らかにしており、ロールス・ロイス社のJ.ローズ最高責任者もこの一行に加わっていたと伝えられている。 |