[原子力産業新聞] 2008年11月13日 第2453号 <4面>

車エンジン油の挙動可視化 中性子利用で 日産と原子力機構が共同開発へ

日産自動車と日本原子力研究開発機構は10日、中性子を利用してクルマのエンジンや駆動系部品内部の潤滑オイルの挙動を可視化する技術の共同開発を開始すると発表した。世界初の試みで、フリクション(摩擦)ロスを低減し、クルマのCO排出量削減につなげる。

両者は共同開発に先駆け、エンジンの潤滑オイル挙動の高速撮影を検討。軽金属製容器内部の水やオイルの流動を中性子で透過、スローモーションで観察する高速度撮影中性子ラジオグラフィ(=図)で、可視化できることを確認した。

これまで高速回転するエンジン内部の潤滑オイルの複雑な動きの可視化計測やシュミレーションの技術はなく、フリクションロスは詳細に分析されていないが、今後、共同でこうした挙動を解析する撮像システムと解析手法の開発を進める。原子力機構は中性子計測のノウハウを生かし、エンジンに適した撮像システムの検討と流体挙動解析手法、日産はエンジン撮像システムの製作と実エンジンを用いた可視化実験を行い、エンジン設計への技術適用を担当する。いずれも原子力機構のJRR―3を利用。


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