[原子力産業新聞] 2008年11月20日 第2454号 <2面>

UAE、ヨルダン等からも新規導入で協力要請 エネ庁課長が講演

原産協会は14日、東京都内で会員情報連絡協議会を開き、資源エネルギー庁の高橋泰三・原子力政策課長が「日本の原子力政策と国際戦略」と題して講演した。

高橋課長はエネルギー・セキュリティーと地球温暖化防止の観点から世界で原子力発電の急拡大が計画(高位予測で年50基、低位予測でも年20基)されているが、1960年台後半から70年台前半には世界で年間30基程度の建設実績があり、今後、適切な投資が行われれば、ある程度不可能なことではない、と述べた。その際、世界的な原子力停滞期でも着実に建設実績を積み重ね、高い技術力を維持してきた日本の産業には、「原子力ルネサンス」の担い手として期待が大きいとした。

米国での最近の金融危機の影響について同課長は、今後の建設がうまくいくのか注視しているが、「意外と米国の電力会社は楽観的で、それほど心配していないようだ。予想していたよりも、冷静だ」と述べた。

今後の日本メーカーの海外進出については、まだ(主契約者としての)輸出実績がなく、「原子力は核不拡散への対応など国の政策と民間のビジネスが相当協力していかないと進めにくい分野。政府としても海外展開をサポートしていきたい」と強調した。

また、日本政府には各国から協力依頼がきているとし、UAEやヨルダンからもきていることを明らかにし、「具体的な話し合いを開始している」と語った。

質疑応答の中で高橋課長は、米国でオバマ民主党新政権に移行しても、軽水炉建設への大きな影響はないものと見ているが、燃料サイクル政策ではグローバル原子力パートナーシップ(GNEP)計画などはトーンダウンされると思うとした。

また、日本が将来的に国際燃料サイクルの中で果たす役割について聞かれた同課長は、「日本の国際的サイクル政策では、再処理などは限られた国しかできないとすれば、日本も期待に応えて貢献していくべきだと考えている」とした。


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