[原子力産業新聞] 2008年11月27日 第2455号 <2面>

日製鋼 国内外の受注受け 800億円投資し大増産 主力の原子力大型鋳鍛工品

日本製鋼所(永田昌久社長、本社・東京都品川区)は20日、本社のあるゲートシティ大崎ウエストタワーで企業業績説明会を開き、世界的な原子力ルネッサンスの最先端となる大型資機材の動きを浮き彫りにさせた。

永田社長(=写真)は、最近の世界金融問題を背景として一部の部門で業績が伸び悩むものの、原子力部門では好調が続き、09年3月期の連結営業利益は、当初見込みの333億円から25億円増加し、対前年度実績比では33億円増と10.5%増加し、358億円と過去最高となる見通しを明らかにした。

今後を占う同社の最主要事業である「鉄鋼製品関連事業」のうち、「電力・原子力」部門(原子炉圧力容器、蒸気発生器、タービン軸など)の年間受注高は、09年3月期の当初計画では460億円だったものが、今回498億円に上方修正した。

世界の原子力大型鋳鍛工品のシェア8割を担う同社は今まで、基本的に「各メーカーに均等に供給する方針」(永田社長)を貫き、2008年3月期を初年度とし11年半ばまでの第1期設備投資として500億円を計画していた。それが今回、アレバ社からの原子力用大型鍛鋼部材の増量供給の要請が強く、2012年から16年にかけての供給契約を結ぶに至り、第1期に加えて今後、第2期設備投資計画として、2012年3月期までにさらに300億円を投資することを明らかにした。

その結果、「原子力用鍛鋼品」の製造能力は08年度の4基体制が、11年度には8.5基に、12年度には12基まで3倍に製造体制を拡大させる計画だ。

具体的には、北海道にある室蘭製作所に水圧式1万4000トン・プレス機を増設し、2基体制とするほか、比較的小型の電力・原子力製品を製造(鍛錬・熱処理・機械加工)する統合新工場を新設する。

同社では、アメリカ、中国などでの新規発注に加え、2010年3月期の見通しでは、「耐震設計の承認を得た日本国内の新規発注も期待している」としている。


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