[原子力産業新聞] 2008年11月27日 第2455号 <2面>

原子力機構が「もんじゅ」で 再開に向け運営体制強化

総合資源エネルギー調査会・もんじゅ安全性確認検討会(主査=大橋弘忠・東京大学工学系研究科教授)は25日、「もんじゅ」の特別な保安検査を踏まえた「行動計画」の進捗について、日本原子力研究開発機構より説明を受けた。前回検討会での指摘を踏まえ、「もんじゅ」に係わる経営上の課題を抽出し、敦賀本部を中心とする運営・保安管理組織の見直し・強化の取組状況を早瀬佑一・同副理事長(敦賀本部長)らが報告した。

「もんじゅ」での相次ぐトラブル発生を受けた、国の保安検査や前回検討会での厳しい指摘から、原子力機構は、運転再開にこぎつけぬ現状を「機構経営にとっての非常事態」と認識し、敦賀本部の枠を超えた「ALL原子力機構」体制でのマネジメント力強化、経営資源の重点的投入に努めることとしている。これまでの改革を振り返り、「もんじゅ」に係わる経営上の課題を、「敦賀本部の経営判断」、「もんじゅにおける業務マネージメント」、「人材の育成、技術・改革の継承」、「組織風土」の4点に集約した上、「安全確保を前提とした『もんじゅ』運転再開を目標に、スケジュールの策定、予算・人員の確保、組織の整備を明確な経営判断のもとに行ってこなかった」と総括評価した。

組織体制の見直しとして、敦賀本部の経営企画部を増員、同部のもとに「もんじゅ総括調整グループ」を設置して、同本部の経営判断力を強化し、また、現場サイドは、高速増殖炉研究開発センターに、安全品質管理室と運営管理室を設置して、所内の品質保証事項と技術的調整事項を一元的に管理させるとともに、所長の強力なリーダーシップのもと、中核となって改革・技術継承が行われるようにした。さらに、これまでのもんじゅ開発部への一点集中を回避すべく、近く同センター所長のもと、技術部、プラント管理部、プラント保全部の3部を改組・新設し、分野ごとの適切なマネージメントがなされるようにする。

組織風土改革については、従業員への定期的なアンケート調査実施、電力会社、WANO、日本原子力技術協会、外部有識者等との交流・意見交換を通じ、改善を図る。

「行動計画」の実施状況は14日現在、138細目中59細目が実施済みとなっている。


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