[原子力産業新聞] 2008年11月27日 第2455号 <3面>

豪州・西オーストラリア州政府 三鉱山政策を正式に撤廃

オーストラリアのC.バーネット西オーストラリア州政府首相(=写真)は17日、ウランの採掘と輸出を既存の鉱山に制限した「三鉱山政策」を同州の自由党・国民党連立政権が正式に撤廃したと発表した。

同州では9月の州議会選挙で8年間続いた労働党政権が倒れ、新しい保守連合内閣による同日付けの承認を受けて、ウランを含むすべての鉱物について採掘権が認められることになったもの。バーネット首相は「数千万ドルもの採掘権収入や雇用の機会に道が拓かれるとともに、気候変動対策にも我が州が大きく貢献することになるだろう」と述べ、キンタイアなど同州で確認済みのウラン鉱山で採掘操業が可能になったことを祝福した。

西オーストラリア州では大型ウラン採掘プロジェクトの開発事業者は州政府と協定を締結することになっており、同州の開発大臣を兼ねるバーネット首相が実質的に取り扱う事項となる。ただし、実際の採掘作業では厳しい安全・保障条項を満たすことが義務付けられており、同首相は具体的に、@ウラン資源の平和利用と安全に関するすべての国際保障措置の適用Aウラン鉱採掘とUの輸送による環境影響面の承認取得B採掘と輸送に従事するすべての労働者の安全確保――などを挙げた。

選挙戦中に労働党が主張していた「ウランの採掘を許せば西オーストラリア州がその廃棄物を引き受けさせられる」との懸念については、99年に制定された放射性廃棄物貯蔵(禁止)法により、同州への廃棄物の持ち込みは実質的に禁じられていると首相は説明している。

同首相はさらに、オーストラリアには世界で確認されているウラン埋蔵量の28%が存在するなど、資源量では世界第1位であるにも拘らず、生産量は世界全体の22%とカナダに次ぐ第2位にとどまっている事実に言及。西オーストラリア州で確認されている25のウラン鉱床からは4100〜5万2000トンのウラン生産が可能との試算を明らかにした。

オーストラリアでは1996年に連邦政府レベルで三鉱山政策を廃止し、労働党も昨年4月に党大会で廃止を決めていたが、西オーストラリア州では歴代の労働党政権が州の権限でこれを維持していた。同州の政策廃止決定により、ウラン資源が確認されている州のうちで三鉱山政策を堅持しているのはクィーンズランド州のみとなった。


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