[原子力産業新聞] 2008年12月11日 第2457号 <4面>

廃棄物の再利用強調 松浦氏 RANDECで講演

原子力研究バックエンド推進センター(RANDEC)は11月28日、「報告と講演の会」を都内で開催、最近の事業内容を報告するとともに、松浦祥次郎・原子力安全研究協会理事長による特別講演を行った。松浦理事長は、放射性廃棄物を資源として利用する可能性について、自身の考えを述べるなどした。

「放射性廃棄物は廃棄物か」と題する講演で、松浦氏はまず、世界で計画中の原子炉のほとんどが改良型軽水炉であることから、原子力エネルギーの主流として、軽水炉は今後も、相当期間は継続すると述べ、次世代炉の開発が進められているにせよ、核融合炉導入までは議論するレベルには達していないなどと、「原子力ルネッサンス」の流れを展望した。その上で、原子力利用の最大の課題として、社会的受容と高レベル放射性廃棄物処分をあげ、社会的受容については、IAEAの諮問グループが示したWStakeholder InvolvementWの考えを引用し、一般公衆の参画を計画立案の当初から求めることの重要性を強調した。

放射性廃棄物についてはまず、昨今の「もったいない」意識の高揚を評価した上で、原子力利用においても、発生する排出物を可能な限り再利用すべきとの考えを示し、高レベル放射性廃棄物を熱源、放射線源に利用する可能性として、ヒートポンプ、水素生産、有害金属元素除去、海水ウラン回収が実証されていることを紹介した。松浦氏は、青森県でセミナーに参加した際、放射性廃棄物の有効利用に熱意を持つ人がいたことに触れ、「厄介なことに取り組むことも人類の歩んできた歴史。何とかパイロット・プラントでもできないものか」などと、会場参加者に賛同を求めた。


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