[原子力産業新聞] 2008年12月18日 第2458号 <1面> |
J−PARC利用開始 物質・生命科学実験施設 多分野の技術革新を飛躍日本原子力研究開発機構と高エネルギー加速器研究機構が、01年度から茨城県東海村に建設を進めてきた大強度陽子加速器研究施設(J−PARC)の中核である物質・生命科学実験施設(MLF)がこのほど完成し、16日にMLF・いばらき量子ビーム研究センター・東海村研究交流プラザの合同記念式典(=写真)が行われた。MLFは今月23日から利用開始、ナノテク・新材料・ライフサイエンスなど広い分野で技術開発の飛躍が期待される。
記念式典には坂田東一・文部科学審議官、岡ア俊雄・原子力機構理事長、永宮正治・J−PARCセンター長、橋本昌・茨城県知事ら約250人が出席。岡ア理事長は、「国内外から多数の研究者がこの世界最先端の施設を利用し、人類の発展に貢献する世界的研究成果が生み出されることを念願してやまない」と挨拶した。
23日から利用を開始するのは、最終的に合計23種類を設置する予定の中性子実験装置の内の7装置および同じく4種類のミュオン実験装置の内の1装置。7装置の内の2つは、茨城県が設置したタンパク質構造解析装置と材料構造解析装置で、北海道大学などが革新的原子炉用核データ研究用の中性子核反応測定装置、原子力機構と高エネ機構が高温超電導を解明する装置、超高分解能粉末中性子回折装置、工学材料回析装置などを設置している。
今年度の課題はミュオン8課題を含む合計98、来年2月末までは24時間運転する。
いばらき量子ビーム研究センターは、茨城県がMLFの産業利用促進などを目的に、今月1日に開設した施設。J−PARCセンター、茨城大学、物質・材料研究機構、中性子産業利用協議会、東海村が多目的ホールなどを設置する東海村研究交流プラザ、東大大学院原子力専攻などが入る。
J−PARCは今月から50GeVシンクロトロンの加速実験を開始、ハドロン実験施設は来年2月から、ニュートリノ実験施設も同4月から運転開始の予定。
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