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[原子力産業新聞] 2008年12月18日 第2458号 <2面>

米DOE長官、ユッカマウンテンで 処分量の上限撤廃を勧告

米エネルギー省(DOE)のS.ボドマン長官は9日、「エネルギー省長官による第2処分場の必要性に関する大統領および議会に対する報告書」をG.ブッシュ大統領と連邦議会に提出し、国内の高レベル放射性廃棄物(HLW)および使用済み燃料(SF)の処分について、「ユッカマウンテン処分場の受入れ上限を撤廃し、第2処分場の建設について早急に検討を開始すべきだ」と勧告した。

これは米国の「放射性廃棄物政策法(NWPA)」の第161条に基づいて行われたもので、同長官は、「2007年1月以降2010年1月までに、第2処分場の必要性について大統領および連邦議会に報告する」よう義務付けられていた。

NWPAはまた、米国初のSFおよびHLWの処分場サイトとして議会と大統領が特定したネバダ州ユッカマウンテンについて、法定処分制限量を重金属換算で7万メトリックトン(MTHM)と定めており、この制限は第2処分場が操業するまで有効としている。同長官の報告書は、米国で稼働する民生用原子力発電所からのSNが現在5万8000MTHM貯蔵されており、今後も年率2000MTHMで増加していくこと、および連邦政府からの軍事用SFが1万2800MTHM存在すると明記。これらの総量はすでに、処分場の制限量7万MTHMを超えていることから、考えられる選択肢は次の3つであると指摘した。すなわち、(1)受入れ制限を撤廃して、すべてのSFとHLWをユッカマウンテンに処分(2)第2処分場の建設手続きを出来るだけ早急に開始(3)決定を保留し、SFとHLWはそれらを発生したそれぞれの敷地内に貯蔵しておく−−である。

同報告書は、この処分制限量はもとより、ユッカマウテンに関する技術的な考察に基づいたものではなく、複数の調査が「同処分場の設計であれば今の制限量の3倍以上の廃棄物を受入れられるよう拡張が可能」と指摘している点に言及。そうなれば、既存の原子炉からのSFはもちろん、それらすべての運転寿命が60年まで認可延長されたとしても十分受入れ可能な容量となる。

ただし、今後原子炉の基数が増えた場合は、やはり拡張したユッカマウンテンを超える第2処分場が必要になる可能性は否定できない。このため、DOE長官としては、「議会が早急に法的措置によってユッカマウンテンの制限量7万MTHMを撤廃し、それによって第2処分場に関する評価作業などに猶予期間が設けられるよう勧告する。この期間中に、第2処分場でどの程度の追加容量が必要であるかや、SFのリサイクルが適当か否か、あるいは追加のSFに対してどのような管理方法が最も適切であるか、などの検討が可能になる」としている。


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