[原子力産業新聞] 2008年12月18日 第2458号 <6面> |
原子力機構 神戸製鋼と共同開発 寿命3倍オーステナイト鋼日本原子力研究開発機構と神戸製鋼はこのほど共同で、世界で初めて原子炉の炉心構造物などを従来の3倍程度に長寿命化できるオーステナイト系超高純度ステンレス合金「EHP」の製造技術を確立した。 同技術は、還元精錬法と揮発精錬法を複合させた新しい溶製法を採用した。溶融した原料をカルシウムの還元作用で不純物を除去し、電磁攪拌効果で組成を均質化、これを水冷銅るつぼで連続凝固することにより、凝固偏析や汚染の無いオーステナイト合金を得る。 不純物の抑制により、経年劣化の要因となる粒界析出や偏析を究極的に排除できるとともに、溶接性が飛躍的に改善。溶接材料に母材と同一材を用いる共材溶接も可能となり、溶接部も母材と同等の性能や品質を確保できる。 比較的廉価な原料を用いても組成が均一で主要不純物が100ppm以下の大規模溶製が可能なことも特徴。これにより不純物が阻害していた高クロム─高ニッケル系のオーステナイト鋼本来の優れた耐食性、耐照射性、機械的強度を同時に達成することができる。 同技術は文部科学省から受託した05〜08年度「原子力システム研究開発事業」の成果。用途については超高燃焼炉など次世代原子力システムに加え、水素エネルギー機器などへの適用も検討するとしている。 |