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[原子力産業新聞] 2009年1月22日 第2462号 <3面>

原子力協力協定に調印 米国とUAE 機微な技術は除く

米国務省は15日、アラブ首長国連邦(UAE)と米国が原子力の平和利用に関する協力協定に調印したと発表した。

同協定は両国が強力な核不拡散規制の下で平和利用目的の原子力開発を進めていく基礎となるもので、UAEは昨年3月に公表した原子力開発計画通り、領土内でウラン濃縮と再処理を実施しないことを確約。その代わりに信頼性のある供給業者から原子燃料を輸入することが可能になった。

国際社会における核不拡散体制を遵守するというUAEの方針を米国は見習うべきモデルとして高く評価しており、「イランのようにIAEAや国連安保理の決議に従わず、民生用原子力開発には不必要かつ核兵器開発のために重要な技術を追及するやり方とは対照的」との見解を示している。発効すれば、UAEにおけるエネルギー需要増対策に米国が支援を提供する際、両国が原子力の平和利用分野で協力していくための法的な枠組みが整備されることになる。

一方、米国側も今回のUAEとの協力によって、自らの要望−−核不拡散や安全確保の基準を最大限に遵守する方式で原子力の平和利用を望む中東諸国等と協力する−−を明白に表明した形。この協力により双方が恩恵に浴するための堅固な基盤が構築されるのみならず、中東全域において責任ある民生用原子力開発利用時代の先駆けとなる可能性も秘めていると強調した。産業界もまた、米国の供給業者がUAEに機器やサービスを供給するビジネス機会の基盤が整備され、多数の雇用が創出されるとの期待を表明している。

今回の協定は、UAEのような非核兵器国と米国の原子力協力協定について定めた米原子力法・123条項のすべての要求項目を満たしており、次のような点が確約される。すなわち、@30年の期間中、原子炉を含む機器設備や物質、研究および発電のための部品や技術の移転が許可されるA高濃縮ウランやプルトニウム、機密データの供給は行わず、濃縮や再処理など機微な原子力施設および技術の移転も許可されないBUAEが濃縮と再処理を領土内で行わないという約束に反した場合、協定を打ち切ることができるC協定の影響下にある使用済み燃料をUAEが英仏に再移転することに長期的な事前同意を与えるD使用済み燃料の再処理によって抽出されたプルトニウムがUAEに返還されることを承認しない−−など。


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