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[原子力産業新聞] 2009年1月22日 第2462号 <3面>

米DOE・チュー次期長官、聴聞会で 「研究で安全な廃棄物処分を」

米議会上院のエネルギー・天然資源委員会は13日、S.チュー氏の次期米エネルギー省(DOE)長官指名に関する聴聞会を開催した。その席上でチュー氏は、「COを排出せずに発電した電力の7割を占める原子力発電は米国のエネルギー構成要素における重要な一部分」と述べ、原子力の開発利用に肯定的な見解を表明する一方、研究により廃棄物を長期間安全に処分する計画の策定が必要だと強調した。

チュー氏はまず、冒頭声明の中で、「米国のエネルギー自立という目標に向けてオバマ次期大統領が推し進めようとしている精力的な計画は実行可能だ」と断言。この計画が意味するところは、風力や太陽熱、地熱などの再生可能エネルギーや、ハイブリッド車を含めた効率的な輸送方式、炭素の回収・貯留技術への投資といった取組みの強化であるとし、原子力発電や放射性廃棄物管理処分の長期計画に対しても継続して取り組むことが含まれると指摘した。

上院議員の1人が質問の中で指摘した「高レベル廃棄物の処分に関してDOEが負っている義務」や、ユッカマウンテン計画が少なくとも10年遅れており、その遅れにより110億ドルの法的債務が生じているという点については、「原子力産業が今世紀のエネルギー構成要素の一角を担っており、また、そうあるべきだという事実を支持している」と明言。その上で、「放射性廃棄物の処分方法を見つけ出すために可能な限り最良の科学分析を用いるつもりだが、これには私の相当量の時間とエネルギーを費やすことになるだろう」との見通しを明らかにするとともに、「諸外国との協力により、DOEは解決策を見つけられると信じている」と強調した。

使用済み燃料の再処理やリサイクルについては、長期的には処分対策の1つとなり得るとしながらも、「現在の方法は(核拡散抵抗性の面で)理想的ではない」と断言。リサイクルの経済性は当面の研究課題であり、DOEが大いに留意すべき点だと述べた。また、日仏のように商業利用に移す前に、さらなる研究を実施したいとの意向を明らかにしている。

政府の新規原子力発電所の建設計画に対する185億ドルの融資保証プログラムに関しては、「加速されるよう支援していく」と約束。ただし、これに続けて、「別の問題として、放射性廃棄物を安全に処分するための長期計画が必要だ」と述べ、それこそ原子力産業を復活させるのと同時にDOEが負わねばならない責務と認識していること、放射性廃棄物の量と寿命を低減するための研究が必要との考えを明らかにした。

同プログラムに関連してチュー氏はこのほか、「前にも申し上げたように、原子力は米国のエネルギー供給構成要素の中の重要な部分を担おうとしており、すでに総発電量の2割を、COを出さない発電量の7割を占めている」と認識していることを改めて表明。「ベースロード電源である原子力の開発利用促進は非常に重要だ」と述べ、その継続的な推進に異議はない点を強調した。


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