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[原子力産業新聞] 2009年1月29日 第2463号 <3面>

欧州議会がECに 原子力投資の拡大勧告 ロシアとウクライナのガス紛争で危機感

欧州市民が直接選出した議員で構成される欧州議会は21日、ガス供給を巡るロシアとウクライナによる紛争の教訓として、EU域内における原子力投資を拡充するための具体的なロードマップを策定するよう欧州委員会(EC)に勧告した。

これは、昨年11月にECが提案した「第2次戦略的エネルギー・レビュー」に対する欧州議会の意見表明として、同議会・産業委員会の議員がEUの将来のエネルギー政策に関してとりまとめた報告書に盛り込まれたもの。産業委員会は同日、賛成多数でこの報告書を承認しており、緊急時の行動計画や加盟国間のエネルギー配管相互接続ポイントの増設、2050年までに達成すべき新たな気候変動対策目標など、広範囲にわたる勧告を打ち出している。

原子力に関してはまず、「原子力発電をEUにおけるエネルギー供給構成要素の中の1つとして維持することは重要」との見解を提示。原子力発電に対する投資を拡充するための具体的なロードマップを作成するようECに求めるとともに、「原子力は技術的に最高レベルの安全性を確保して利用すべきである」との考えを強調。EUの近隣諸国も新しい原子炉の建設を計画したり、古い原子炉を改造する度に欧州の原子力安全基準を採用すべきであると勧告した。さらに、ECおよび欧州理事会は国際原子力機関(IAEA)との協力の下、原子力の平和利用が核兵器の拡散につながることを防止できるような手続きを策定すべきだと提言している。

同報告書は、3月の欧州理事会の将来エネルギー戦略に関する協議の中で議題として取り上げられる予定だ。

今月始めのロシアによるウクライナ経由のガス供給停止は、EU域内の市民生活に大きく影響した。被害の大きかったスロバキアとブルガリアは、EU加盟時の条件として停止させた旧ソ連型軽水炉(それぞれボフニチェ発電所およびコズロドイ発電所)の運転を再開させる可能性を指摘している。


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