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[原子力産業新聞] 2009年2月5日 第2464号 <3面>

フランス 国内2基目のEPR パンリー発電所サイトに建設を決定

フランス大統領府(エリゼ宮)は1月30日、N.サルコジ大統領が、フラマンビル3号機に次ぐフランス国内で2基目のEPR(欧州加圧水型炉)を建設することを正式に決めたと発表した。

それによると、この建設計画はフランス電力(EDF)が管理し、大部分を所有する事業枠組みの中で進める。欧州第2位のエネルギー企業で仏政府が35.7%を保有するGDF−SUEZ社も同計画に参加する予定だが、ほかに出資を希望する企業があれば今後参加することが可能。建設サイトはパンリー原子力発電所(PWR2基、各138.2万kW)で、パリの北西180km、セーヌ=マリティーム県のディエップ近郊という位置になる。スケジュールは、2012年に着工、17年に送電網への接続を目指し、EDFは数週間以内に国の委員会に同計画に関する公開協議を申請する予定だ。

大統領の発表を受けてEDFのP.ガドネイ会長は同日、「原子力などCOを出さない電源の開発という当グループの長期的な産業戦略を支持するものだ」として高く評価。フランスの原子力産業全体のみならず、同国民の雇用のためにも素晴らしいニュースだとコメントし、需要増が見込まれるフランスおよび欧州において今後の電力供給を保証することになるとの見方を示した。

また、パンリー発電所サイトに関しては、「EPRの建設に必要な技術的特質のすべてを備えている」と形容。建設に係わる提携企業については、ショーおよびトリカスタン原子力発電所の建設でベルギーのエレクトラベル社と提携したこと、また、フラマンビル3号機の建設でイタリアのENEL社と提携した例を挙げ、「産業界とバランスの取れたパートナーシップを構築して進める」との方針を明らかにした。

EPRを設計開発したアレバ社も、EPRの長所として実証済みの技術を基礎とする世界初の「第3世代+」原子炉設計であることや、安全当局による要求項目をフルに満たしている点を強調。12年に着工されれば、フィンランドと国内で各1基ずつ建設中のEPR、および中国で計画中の台山1、2号機に次いで、世界で5基目のEPRになるとしている。

アレバ社はまた、英国で進行中の新規原子炉建設計画でEDFとドイツのE・ON社がEPRで受注を狙っている点を指摘。米国でも電力会社が7基のEPR建設を計画しており、現在、米国の設計認証(DC)を取得するため審査中であると強調した。さらに、同社はGDF−SUEZ社および国際石油資本のトタル社と提携し、アラブ首長国連邦の初号機としてEPRを提案していることも明らかにしている。


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