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[原子力産業新聞] 2009年2月19日 第2466号 <1面>

柏崎刈羽7号機 国が起動を正式了承 安全委も決定 起動前の全ての審議を終了

原子力安全・保安院と原子力安全委員会は、18日までに東京電力・柏崎刈羽原子力発電所7号機が原子炉起動を伴う「プラント全体の機能試験」に入ることを正式に了承した。総合資源エネルギー調査会の調査・対策委員会は13日に、保安院の「起動は安全上問題ない」とする判断を了承。保安院は16日に、この判断を原子力安全委員会に報告、同委員会は18日に報告を適切とする見解を決定した。

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エネ調原子力安全・保安部会の「中越沖地震における原子力施設に関する調査・対策委員会」(委員長=班目春樹・東大院教授)は13日の会合(=写真)で、保安院の「柏崎刈羽7号機の起動について安全上の問題はない」との判断を了承した。

同審議は、委員会の下の設備健全性評価サブWG(主査=関村直人・東大院教授)の12日の審議結果を受けたもの。東電は12日に、(1)7号機の原子炉起動前までに必要な全ての点検・評価結果を取りまとめた報告書(2)起動後に実施するプラント全体の機能試験・評価の正式な計画書――を提出。サブWGはこの内容を妥当とする保安院の判断を了承していた。

保安院は、点検・評価結果を妥当と判断した根拠として、東電の分析結果に対するJNESのクロスチェック、現地検査官による点検状況の確認、約70人の専門家による延べ100回を超える審議会等での検討、海上音波探査による海底活断層の調査などを挙げた。

13日の委員会審議では、委員である新潟県防災局の渡邊博文局長が、県の技術検討委員会での議論と国の審議との相違点として、(1)F−B断層の北方延長部の活断層性(2)基準地震動策定の断層モデルにおける想定地震発生層の厚さ(3)耐震応答解析では分析できない施設の微小組成変形の有無(4)7号機単独ではなく発電所全体の評価の必要性――について質問。保安院は海上音波探査の結果、今回の地震の余震発生分布、応答解析結果が弾性範囲内、個別評価の必要性などを説明。この説明に対する意見や他の意見はなかった。

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二階俊博経産相は13日、保安院の判断に関し、「柏崎刈羽原子力発電所の再開に向けて」とする談話を発表した。「本日、7号機に関しては専門委員会の場で最終的に確認を頂き、経産省としてはその起動につき、安全上の問題はないものと判断した。引続き他号機についても安全確認作業を進める。今後とも原子力発電の推進では厳格な安全確保に努める」とした。

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安全委員会は18日の会合で、柏崎刈羽7号機の設備健全性評価報告について、「適切」とする見解を決定した。

その中で、プラント全体の機能試験計画については、今後の実施に際し、「安全確認に細心の注意を払いつつ、慎重に進められるよう適切に確認を行っていく」ことなどを保安院に求めた。また、同機の耐震安全性評価(バックチェック)についても、保安院による評価報告に対し、「適切」との見解を合わせて決定。

安全委では、同委下の耐震安全性評価特別委員会などで、柏崎刈羽7号機の施設健全性、耐震安全性について、計60回以上の専門的調査審議を行ってきた。


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