文字サイズ
[原子力産業新聞] 2009年3月5日 第2468号 <1面>

東芝がTFコイル試作 ITER向け製造本格化へ

国際熱核融合実験炉(ITER)の建設サイトの仏カダラッシュで用地整備が本格化する中、ITERの主要技術で巨大構成要素の超伝導トロイダル磁場(TF)コイル(=下図)を日本で作製するため、原子力機構が昨年12月から公募してきた中心製造メーカーがこのほど、東芝に決まった。公募名は「TFコイルの詳細製作設計および実規模試作一式」で、落札価格は約37億5000万円。

具体的な業務は、TFコイル製作のための、(1)一次製造設計(2)製造計画と冶工具の設計・準備(3)構造材料の選定および品質確認(4)実規模大の試作等による製作技術の確立およびコスト合理化(巻線部の試作、構造材および構造物の試作)(5)詳細製造設計および製作図面の作成――など。

入札には東芝1社しか応札しなかった。納入期限は茨城県・那珂核融合研究所へ2011年3月までとなっている。

原子力機構はこれまで、TFコイルの製作に必要となる基本的な技術開発を、鉄鋼メーカーと高強度ステンレス鋼の開発、重工メーカーとコイル構造物の溶接・機械加工技術、重電メーカーと高精度な巻線を実現できる巻線機の開発などを行ってきた。

今回契約した作業では、これら開発してきた技術を東芝が中心になって統合し、TFコイルの製作設計、製作冶具の設計・製作、製造計画や品質管理計画の策定、実規模での技術検証を実施し、同時に技術的リスクの低減と工程・コストの合理化などを図る。

この製作が順調に進めば、2010年度からTFコイル第1番目の実機製作に入る。その際も一般競争入札となるが、今回の試作実績の技術成果が最大限必要となることから、東芝が最有力メーカーとなるものと見られる。


Copyright (C) 2009 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.