[原子力産業新聞] 2009年3月5日 第2468号 <2面> |
10年頃、取組みを再構築 分離変換検討会 報告書案まとめる原子力委員会研究開発専門部会の分離変換技術検討会(座長=山名元・京大教授)は2月26日の会合で、報告書案をほぼ取りまとめた。改めて分離変換の意義を示した上で、2010年頃のFBRサイクル実用化研究開発(FaCT)の評価、同年頃から開始する第二再処理工場の在り方の議論などを踏まえ、国は10〜11年頃に分離変換研究への取組みを再構築すべきとした。J−PARCの第2期計画の核変換実験施設も、着工を判断するためのより具体的検討の推進を求め、同時期に改めて判断するとの意向を示した。 報告書案は効果と意義、研究開発の現状、海外動向、現状の評価、今後の研究開発などで構成する。 今後の研究開発では、05年度に終了したFBRサイクル実用化戦略調査研究で、MA分離変換が実用化FBRサイクルの具備すべき機能とされ、同技術が将来技術ではなく、原子力発電体系(核燃料サイクル)の重要な要素技術になったと指摘。同技術の発電体系自体の在り方との強いリンクを求めている。 その上で、FaCTの主概念であるMA均質サイクルを前提とした酸化物燃料サイクルでは、湿式分離法による高信頼の分離回収、強い発熱・高い線量に阻害されないMOX燃料製造などに課題があり、確実な技術解の提示が困難なことも想定されると指摘。このため高速炉への非均質装荷や加速器駆動未臨界炉(ADS)の研究も必要としている。FaCTの副概念の金属燃料サイクルも基礎研究から準工学段階までになったが、今後、工学的実現性を追求すべきとした。 一方、ADSも加速器の性能とコスト、ビーム窓の工学的成立性、未臨界炉心の制御などの課題があり、適切な時期までに解決への見込みを得ることが必要と指摘。核変換物理実験施設とADSターゲット試験施設の建設計画があるJ−PARCの第2期計画において、汎用性の高い同物理実験施設を先行して整備するとした考え方は妥当だが、着工を判断するために、MA使用機器の検討やMA調達の具体化などの検討も進める必要があるとした。 |