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[原子力産業新聞] 2009年3月5日 第2468号 <3面>

イランのブシェール原子力発電所 ダミー燃料で 起動準備段階に

ロシアの原子力総合企業であるロスアトム社は2月26日、同社が建設協力しているイランのブシェール原子力発電所でダミー燃料を装荷し、起動の準備段階に入ったと発表した。

同発電所はロスアトム社傘下のアトムストロイエクスポルト(ASE)社が主契約者となって建設が進められており、ロスアトム社のS.キリエンコ総裁は25日に建設サイトを視察。起動プロセスの重要な段階であるダミー燃料体の装荷が行われ、一次系の通水試験の準備が整ったとしている。

その後、キリエンコ総裁はイラン原子力庁のG.アガザデ長官とともに記者会見に応じ、建設プロジェクトの進展状況に満足の意を表明。ロシアの一般的な原発建設プロジェクトと同様、すべての機器類がスケジュールに従って徹底的にチェックされることになると指摘した。また、同機の建設および機器設置作業がほとんど完了し、起動プロセスに入ったことを宣言。起動日程については、イラン側の作業調整により、予定日を多少前後する可能性があると述べた。

同総裁はこのほか、今回のイラン訪問で今後の両国協力の可能性に関する交渉を実施。今後少なくとも10年間にわたって、ロシアからイランに燃料を供給する契約について協議したことを明らかにした。両者はまた、ブシェール発電所の共同操業で新たに企業を設立する可能性についても協議したとしている。

なお、イランが同機の初装荷用にロシアから輸入した燃料は昨年2月以降、国際原子力機関(IAEA)が封印した状態となっている。このため、実燃料を同機に装荷し、起動にこぎ着けるまでにはさらに半年ほどかかるのではないかとの見方も有力だ。


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