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[原子力産業新聞] 2009年3月12日 第2469号 <1面>

新潟県 18日にも技術委開催 運転再開へ議論大詰め 柏崎刈羽7号の試験運転から

中越沖地震で被災した東京電力の柏崎刈羽原子力発電所(=写真)の安全性を検討している新潟県の「原子力発電所の安全管理に関する技術委員会」(座長=代谷誠治・京都大学原子炉実験所長)が8日、新潟ユニゾンプラザで開かれ、「地震・地質」と「設備・耐震」の両小委員会でこれまで審議してきた論点整理が両論併記の形で報告されたほか、今後の進め方についても議論され、18日に改めて同委員会を開催することを決めた。代谷座長は次回、同委員会としての見解を私案の形で取りまとめ、公表することを表明した。

「地震・地質」小委員会の主な論点としては、(1)佐渡海盆東縁部の活断層の存在について(2)建屋の傾斜が異なる原因について(3)地震発生層の厚さについて(4)基準地震動の策定等に関する国の評価について――の4点。

「設備・耐震」小委員会の主な論点としては、(5)地震による微小な塑性変形の有無について(6)微小な塑性変形が設備の機能に与える影響について(7)地震応答解析の精度・信頼性について(8)7号機設備(機器単位)の単独での健全性評価について(9)7号機の耐震安全性評価について――の5点。

例えば論点(4)の「基準地震動の策定等に関する国の評価について」では、原子力安全・保安院や原子力安全委員会の評価は「妥当」と判断しているが、小委員会では、同活断層の存在の可能性について、(1)海底の急斜面や陸域の段丘の成り立ちを十分に検討せずに存在を否定しており、「活断層等に関する安全審査の手引き」違反であり、地震発生層についても、もっと(幅が)厚い場合を検討すべきであり、「国の審査は不十分」とする見方と、(2)国は耐震設計審査指針や同「手引き」に則って十分に審査を行っており、「国の評価は適切」――とする意見と両論併記している。

また、(9)の「7号機の耐震安全性評価について」も、国や安全委員会では「妥当」と判断しているが、小委員会では、(1)微小な塑性変形があった場合、次に大きな地震を受けた時に心配だとする意見と、(2)耐震安全性評価の解析方法の精度・信頼性は確保されていることから、「評価結果も適切であり、7号機の設備や建屋の基準地震動に対する耐震安全性は確保されている」――とする判断の両論併記となっている。

これらの論点に対し、原子力安全・保安院は改めて(1)〜(9)の論点について同院の見解を示し、「7号機の耐震安全上重要な建物・構築物および機器・配管系の安全機能(「止める」、「冷やす」、「閉じ込める」)は維持される」と判断していることを強調した。


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