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[原子力産業新聞] 2009年3月12日 第2469号 <2面>

【Salon】ITERへ距離の差縮める熱意 原子力機構 核融合研究開発副部門長 奥村 義和氏

原子力機構が東京で開いた「幅広いアプローチ(BA)」の第1回BA活動企業説明会で、思わず「核融合技術は本当に難しかった」と吐露した。

“究極の理想エネルギー”と言われながらも、蜃気楼のように追い求めれば求めるほど、その実現は先へ先へと遠ざかった。

大学を卒業後、約35年間、核融合研究に身を置いてきたが、「原型炉の山がやっと見えてきた。そのベースキャンプがITER(国際熱核融合実験炉)でありBAだ」と嬉しそうに語る。

いままでは、「1つ山(研究課題)を越せば、また1つ山が現れる。その山にやっとのことで到達しても、またその向こうに山がでてきた」と言った状態だったと説明する。

ITERの建設サイトは残念ながらフランスのカダラッシュにいってしまったが、南国育ちの本人は青森県六ヶ所村に赴任して1年半が過ぎた。

ただ、ITER誘致には敗れても、気落ちばかりはしていない。「JT―60の研究者だって、装置本体を見るのは年に1〜2回程度。ならば、60m先にあっても、6000km先(実際は約1万1000km)に離れていても、重要なことはどんな実験プログラムを立て、実行できるかだ」と、今年は平年に比べて雪が少ない六ヶ所村で、日欧BA活動の1つとして同村に建設予定のITER遠隔実験施設に夢をつなぐ。   (き)


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