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[原子力産業新聞] 2009年3月12日 第2469号 <3面>

独シーメンスと露ロスアトム VVERの販売・建設 JV設立で覚書

独シーメンス社とロシアの原子力総合企業であるロスアトム社は3日、ジョイント・ベンチャーの創設を含め原子力分野で協力していくための了解覚書(MOU)に調印したと発表した。

シーメンス社によると、同JVでは特に、ロシア型PWR(VVER)の技術開発をさらに進展させ、既存炉の設備近代化や出力増強のみならず新規原子炉のマーケティングや販売、建設についても取り扱う。燃料の成型加工から原子炉の廃止措置に至るまで、原子力発電の全ステージに沿って総合的な事業チャンスを探っていく計画。ロスアトム社がJVの50%を超える比率で出資する可能性や、具体的な協力の項目および条件については今後交渉することになるとしている。

同社はまた、ロスアトム社が原子炉の運転を含め、原子力発電全体を取り扱う総合企業として世界でも特異な存在である一方、シーメンス社はタービン機器製造の総合的なノウハウの蓄積や大型施設のプロジェクト管理で豊富な経験を保有するなど相互に補い合える関係だと指摘。ロスアトム社のS.キリエンコ総裁も「本格的なパートナーシップを通じて、我々は世界の原子力市場におけるリーダーになることを目指したい」との展望を明らかにした。シーメンス社では、2030年までに世界で約400基の新規原子炉が建設され、総投資額は1兆ユーロを超えると見込んでいる。

なお、1月26日にシーメンス社からアレバNP社での合弁解消を告げられた仏アレバ社は、シーメンス社とロスアトム社のJV設立表明について4日にコメントを発表。「2001年のアレバNP社設立時に結んだ株主間契約には、「協業避止義務(一企業の営業機密を利用した競合他社との競争的取引を禁じる義務)」などの強制義務条項が含まれている」と指摘し、シーメンス社の今回の行為は契約違反であると主張している。


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