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[原子力産業新聞] 2009年3月19日 第2470号 <3面>

IAEA 次期事務局長を選出へ 来週、臨時理事会で投票

国際原子力機関(IAEA)は16日、次期事務局長選挙の投票を実施するため、非公開の特別理事会を今月26日と27日にウィーンのIAEA本部で開催すると発表した。

これは、2日から約1週間、開催されていたIAEA定例理事会で決定されたもの。11月末に退任予定のM.エルバラダイ事務局長の後任候補者として、昨年12月31日までに日本の天野之弥在ウィーン代表部大使(=写真)と南アフリカのA.ミンティIAEA理事が立候補を届け出たが、3月までの非公式協議で候補者が1人に絞られなかったことから、35か国で構成される理事会で投票プロセスに入ることになった。

当選にはこれら理事国の3分の2(24票)の支持が必要で、6月の理事会までに候補者を絞り込み任命、9月の総会(IAEA全加盟国が参加)で候補者の正式承認が行われる予定だ。

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天野大使が抱負

定例理事会・会期中の4日、天野大使は次期事務局長候補者としての抱負を次の様に表明した。

「新たな事務局長の主たる役割は、IAEAの主目的である核不拡散の確保と技術協力を含む原子力の平和利用促進のために働くこと。私はこれらの目的をバランスよく推進していく考えだ。

私は広島・長崎の経験を有する国から来ており、核兵器の拡散に断固立ち向かう。イラン、北朝鮮といった核問題には最大限の努力が払われるべきであり、私の核不拡散に対するコミットメントは事務局運営に全面的に反映されることになる。

我々は、世界的経済危機と同時にIAEAの活動に対する需要の急増に直面している。新たな事務局長には、よき管理能力が一層必要。既存の予算を最も効果的に使用するために最大限の努力を払うことが不可欠だ。IAEAは加盟国・国際機関とのパートナーシップ強化、任意拠出金の活用、能率の向上等を行うべきであり、これらの措置により、IAEA予算において需要と負担能力の最適なバランスが達成されることを期待する。

組織運営については、事務局と加盟国間の意思疎通、事務局内の意思疎通がひき続き改善されるべき。また、若い世代・女性、十分に代表されてない国に更なる機会が与えられるべきである。さらに、現場主義を重視するとともに、研究所や原子力発電所を訪れ、技術者や職員の意見を聞くことを重視したい。

IAEAのあらゆる分野において、科学技術のよりよい活用が成功への鍵。現在、IAEAは、保障措置制度の強化、イラン・北朝鮮といった核問題、技術協力の促進、原子力ルネッサンス、核燃料供給保証への種々のアプローチ、核テロ、原子力安全・セキュリティ等種々の挑戦に直面している。事務局長に選出された場合は、これらの問題に優先的に取り組みたい」。


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