原産まとめ 昨年の世界の発電所 準備活発でも運開はゼロ

日本原子力産業協会は10日、09年1月1日現在の「世界の原子力発電開発の動向」をとりまとめ、昨年1年間に世界で新規に運開した原子炉はなく、稼働中原子炉の数は432基・約3億9044.4万kWであったことなどを明らかにした。

主な動きとしては、スウェーデンやイタリアなど、かつての脱原子力国が政策を大きく転換し、原子力再生に向けて動きつつあるほか、英米でも新規原子力発電所の建設に向けて、着実に準備が進んでいる。また、インドや中国のように、経済の発展に伴う急激な電力需要増への対応を急ぐ国々では、原子力発電設備の大幅な拡大を計画。インドは現在の400万kWから2032年には6300万kWへ、中国は900万kWの設備を2020年には7000万kWへの拡大を目指している。

2008年に世界で新たに運転を開始した原子炉がなかった一方、スロバキアと日本(年度末までのデータ含む)で3基・182万kWが閉鎖したことから、世界全体の運転中原子炉設備は前回調査から179.7万kWの減少となった。

新たに着工された原子炉は4か国の9基で、このうち米国とスロバキアの3基が、長期の建設工事停止を経た「建設再開組み」となっている。日本の大間原子力発電所は当初計画から約2年遅れの着工、中国では福清および寧徳などの新規サイトを含めて5基の建設が始まった。

また、08年には3か国で16基・1891.2万kW分の原子炉建設計画が新たに判明した。この中では特に、米国で30数年ぶりの新規発注となった4サイト・8基の計画がカウントされているのが特徴。これらで電力事業者はすでに、エンジニアリング・資機材調達・建設(EPC)契約を原子炉メーカーと結んでいる。また、年度末には日本の川内3号機と浜岡6号機の計画が国の電力供給計画の中に組み入れられた。このほか、例年通り中国での新規計画が堅調で、新規サイトとして福清および寧徳のほかに、秦山I期発電所の拡張工事に当たる方家山原子力発電所計画の存在が明らかになっている。

なお、閉鎖された原子炉としては、スロバキアの1基、日本の浜岡1、2号機をカウントした。


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