エネ調 原子力部会が夏までに 推進策検討を本格化 新増設・リプレースを円滑化へ

総合資源エネルギー調査会の原子力部会(部会長=田中知・東大院教授)は22日、経済産業省で会合を開き、「原子力発電推進強化策」の検討を本格化させた(=写真)。経済産業省では、国内の「新増設・リプレースの円滑化および既設炉の高度利用」に焦点を絞って論点整理を行い、提案した。

将来の電力需給への対応としては、原子力発電を二酸化炭素を排出しない「低炭素電源の中核」として、また、供給安定性に優れた準国産エネルギーとして、「引き続き基幹電源の役割を担うことが期待されている」とし、2020年を目途に「ゼロ・エミッション電源」の割合を50%以上とする目的達成に向けて、「発電比率を向上させていくことが必要となる」と強調している。

そのためには、(1)リードタイムの短縮(2)原子力発電比率の高まりに対応した出力調整運転(3)電力会社の広域的運営に向けて、国はいかなる環境整備を行うべきか(4)発電所の出力向上の推進(5)第二再処理工場費用の今後の料金参入に向けた検討――の5点を主な論点として挙げた。

2030年前後からと予想される本格的なリプレースが円滑に行われない場合には、「原子力発電比率が急激に落ち込んでいくおそれがある」との危機感も抱いている。その対応として、廃止措置技術や次世代軽水炉開発の計画的推進の重要性を指摘している。

運転保守高度化の取り組みでは、(1)電気事業者の品質保証活動の充実・強化や立地地域との信頼関係構築(2)新検査制度への円滑な対応(3)運転中保全の導入拡大(4)計画外停止後の円滑な立ち上げ(5)産業界から見た規制課題の明確化――などの検討も重要だとしている。

同会合では、二酸化炭素排出目標値の検討における原子力発電の位置づけについて同省が説明、電事連も事業者としての考えを説明した。

今後、委員会を5月、6月と開き「原子力発電推進強化策」を報告書として取りまとめ、地球温暖化防止の国際会議の対応なども念頭に、対策を検討していくことにしている。


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