UAE大使 「原子力発電が最適」 天然ガス過半は輸入

第42回原産年次大会に発表者として来日したハマド・アルカービ・アラブ首長国連邦(UAE)国際原子力機関大使・外務省原子力開発担当政府代表は14日、同大会会議室で合同記者会見に臨み、原子力開発の狙いなどについて以下の通り語った。

Q.日本とUAEの今後の協力関係について教えてほしい。また他国とも協力していく予定はあるか。

A.先日、原子力平和利用に関する覚書を締結した。日本の原子力業界はシステムがしっかりしており、部分的でなく、建設・運転・規制などすべての面において確立されていることに感銘を受けた。次のステップとして、ぜひ二国間協定を結びたいと考えている。日本はすでにUAEからエネルギーを輸入しており、この分野での協力の可能性は高い。UAEは、米国・フランスなどと二国間協定を結んでいる。

Q.資源大国であるはずのUAEが、今なぜ原子力なのか。

A.興味深い質問だ。現在UAEの経済は急速に拡大しており、消費電力は4000万kWを超える。これは2003年の3倍にものぼる。

現在の主なエネルギー源は天然ガスだが、実はその60%をカタールからの輸入に頼っている。国内で産出されるガスは石油産出時に付随して出てくるガスを使用しているが、同時に硫黄も発生しあまり好ましくない。

他に代わるエネルギーの可能性として重油、石炭、太陽光なども考えたがいずれもコスト面、環境面、供給面などで欠ける部分がある。そのすべての要件を満たすエネルギー源として、原子力は有効である。

Q.湾岸協力会議(GCC)での他国との協調体制について教えてほしい。

A.加盟国間で原子力開発チームを作り、定期的に会合を行っている。需要調査、インフラ要件、法制度、各国安全基準など導入に向けての体制を整えている。UAEも継続してサポートしていくし、将来的には加盟国間での専門的技術知見の交換にも期待を寄せている。

Q.2017年までに国内第1号の原子炉建設を予定しているとのことだが、進捗状況について教えてほしい。また、原子炉建設のメーカーの選定はいつ行われるのか。日本のメーカーは有望か。

A.IAEAのガイドラインに沿って、導入に向けてサイト選択、法整備、規制当局の設置などさまざまな課題を織り込んだ開発ロードマップのプロジェクトに取り組んでいる。

その結果、2017年に原子炉建設可能ということがわかった。そのスケジュールによれば2009年中にメーカーとの契約を結ばなければならず、今年中には選定する予定だ。

長期の持続可能性や効率を考え、同じ技術を使用したプラントを何基か建設したい。選択する技術は1つに絞りたいが、建設・運転などのシステムを達成するために1社だけでなく何社かを選ぶという可能性も考えられる。

日本は原子力システムすべての面において優れた技術力を有しており、システムを何年も維持している点でも卓越しているので、日本のメーカーも当然候補となる。選定においては、技術と能力、工期遵守、二国間協定などの要素をトータルで考えていきたい。


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