【第42回原産年次大会】 セッション1 基調テーマ「原子力大国・経済大国における低炭素社会実現にむけた原子力発電への期待」 佃和夫・三菱重工業取締役会長 「日本の産業界が果たす役割」

05年頃から「原子力ルネッサンス」と言われ始めているが、契機となったのは、エネルギーの安定供給、発電段階でCOを排出しない低炭素社会実現の切り札であること、そして、原子力の相対的な経済性が挙げられる。

昨年の洞爺湖サミットの首脳宣言のように、温室効果ガスの削減は世界共通の認識となり、国際エネルギー機関(IEA)も、「05年から2050年までにCOを半減させるためには世界中で100万kWの原子炉を年平均32基増設する必要がある」と指摘。日本でも、2020年頃までに15基の新増設が計画されており、プラントの供給能力向上は不可欠だ。FBRについても2050年頃の実用化に向けて、開発を推進しており、このような国をあげての取組みに産業界としての責任を果たしていくことが我々の役割と考える。

メーカーの技術力というのは、(1)エンジニアリング力(2)もの作り力(3)技術サポート力(4)調達力――で構成され、これらを総合することにより、社会のニーズたる「原子力プラントの安全確保」と「経済性の向上」が実現できる。すなわち、概念検討から保全サービスまで、1社でカバーする一貫責任体制で取り組むことが重要なのだ。

日本の原子力産業界はこれまで、単体機器を世界に輸出してきたが、今後は世界市場に製作・建設・運転・アフターサービスまで、国・電力会社とともに一体となって発電プラントを提供していきたい。日本においては既設プラントの着実な運用と新増設計画の着実な推進、FBRの精力的な開発を行うとともに、世界各地の市場においては我々が培ってきた技術力をトータルなプラント建設として役立てていくことが日本の産業界の責務と考える。


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