【第42回原産年次大会】 セッション1 基調テーマ「原子力大国・経済大国における低炭素社会実現にむけた原子力発電への期待」 J.ユリーン駐日フィンランド大使 「フィンランドのエネルギー政策における原子力の役割」

フィンランドは、エネルギー供給構成要素の多様性では群を抜く存在。風力や日照時間に乏しいことから再生可能エネルギーの重要性は低い。

1990年以降2030年までの予測では、GNPの伸びに伴い電力消費量も伸び続けており、何らかの対処が必要だ。

エネルギー政策における主要目標は、供給量の安定確保、競争力のある価格、京都議定書の義務の履行、供給予測が可能であること、エネルギー源の多様化、分散型・多機能なエネルギー・システムの維持――など。この中で原子力は重要なエネルギー源の1つという位置づけで、(1)増大する需要増への対処(2)京都議定書の数値目標達成(3)強力で低炭素なエネルギー供給――という目標達成のために必要である。

2025年までの取組みの中でも電力輸入と石炭・石油火力を減らす一方、原子力への期待は最も高い。30年までのシナリオでは、新たに160万kWの原子力設備を3段階に分けて開発することが表わされている。

わが国は05年に新規原子炉を着工するなど、西欧で原子力発電再開の口火を切った国だ。後続の原子炉建設についても、昨年3つの事業者が原則申請を政府に提出しており、2010年初頭にも内閣が判断を下す予定、議会による決定は同年末になる見通しだ。わが国はまた、世界で唯一、高レベル廃棄物最終処分場サイトが決定している。

このように原子力の利用が順調に進む理由として、一般市民の気候変動問題に対する意識の高さと政府への信頼を挙げたい。政府がすべての原子力計画において常に透明性を維持し、信用を醸成したということに尽きる。処分場問題にしても、地元の自発性が最も重要。最も必要なのは政治的な指導力であり勇敢なリーダーシップである。


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