米アメレンUE社 キャラウェイ2 建設計画を保留 建設期の金融コスト回収、困難に

米国の電力会社であるアメレンUE社は23日、キャラウェイ原子力発電所(=写真)で進めていた原子炉建設計画を一時保留すると発表した。

ミズーリ州を本拠地とするアメレン社は昨年7月、キャラウェイ発電所の既存原子炉に隣接して、160万kW級のアレバ社製US−EPRを1基建設することを想定した建設・運転一括認可(COL)を米原子力規制委員会(NRC)に申請。地元ミズーリ州で審議中の「クリーン・再生可能エネルギー建設法案」に「建設仮勘定(CWIP)」条項が盛り込まれ、新たなプラントの建設期間中に事業者が資金調達コストを顧客から回収できる形で成立するのを待っていた。

しかし、州議会審議の中で同法案の内容が修正され、CWIPが盛り込まれないことが明らかになったことから、このまま建設計画を進めていくと約60億ドルと試算した建設費の調達コストを回収できなくなる可能性が出てきたとしている。

CWIPによる建設資金の調達計画は現在、米国の多くの州で採用されており、3月にはジョージア州の公益事業委員会がジョージア・パワー社に対して、ボーグル原子力発電所増設計画で資金調達コストを「未成工事支出金」として建設期間中に電気料金に上乗せ・回収することを許可している。

ミズーリ州では現在、プラントが操業を開始するまで事業者はいかなる建設経費も回収することができないことになっており、アメレン社のT.ボス社長兼CEOは「現在のような経済環境で、CWIP条項など州の支援政策抜きでは、莫大な資金を要する新たな建設計画の実現は難しい」と断言。建設を始める前に、財政面および規制面で確実な条件の確保が必要だと強調した。

同社はすでに、州議会に提出された同法案を上下両院から取り下げるよう、支援議員らに要請。今後もミズーリ州で必要となる電力を供給するためのオプションを調査し続けるとしている。


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