日露 原子力協定を締結 相互補完し関係強化 ロシアのウラン濃縮に期待

日露原子力協力協定が12日、ロシアのプーチン首相の来日に合わせて東京の首相官邸で締結された。日本の原子力機器製造技術とロシアの濃縮ウラン供給能力など、「典型的な相互補完関係にある」(望月経済産業事務次官)両国が正式に協力関係を強化しようとするもので、日本としては米・英・仏・加・豪・中に次ぐ7か国目の原子力協力協定となる。中曽根弘文外相とセルゲイ V.キリエンコ国営企業ロスアトム社長が署名した。今後、両国の国会で批准された後、発効する。

同協定書自身は現段階では公開されておらず、どの程度の条文から構成されているかも明らかになっていない。

協定締結に合わせて同日、二階俊博経産相とキリエンコ社長が、具体的な協力を進めるために、「原子力の平和的利用における協力に関する経済産業省とロスアトムとの共同声明」に署名した。

同声明で両者は、原子力エネルギーが「21世紀における世界の繁栄および持続的発展に必要不可欠かつ重要な役割を果たす」との共通の理解に立つ一方、世界的な関心が高まる中で、核不拡散/保障措置、原子力安全、核セキュリティーの3S確保の重要性も増大している、と強調。

両国の相互利益を追求するために、ウラン鉱山、燃料サイクル、原子力発電所の建設などで二国間協力を促進する、としている。

さらに、原子力エネルギーの導入を検討している他国に対しても、3Sが確保されるような方法で原子力が当該国のエネルギー・ミックスに含められることを奨励し、法律的、行政的、その他の必要な基盤を整備することを支援する、としている。また国際原子力機関やロシアなどが提案している燃料供給保証に関しても、国際的な議論に貢献し参加する。協力を円滑に進めるために、両者間で定期的に対話を実施し、意見交換していくことも決めた。

経済産業省では、同協定の締結で、わが国の電力会社が英仏に使用済み燃料の再処理委託をした結果、両国に現在貯蔵されている回収ウランをロシアで再濃縮したり、ロシアの原子力メーカーが日本の原子力機器や製造技術を導入することなどがまず想定されているが、「十分にいろいろな展開があると思う」と説明している。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで