柏崎刈羽7号 震災から復帰 試運転入り 盛夏前に通常運転めざす

東京電力は地元の新潟県、柏崎市、刈羽村から柏崎刈羽原子力発電所7号機(ABWR、135万6,000kW)の試験運転開始の正式了解を8日に得たことから、直ちにプラント全体の機能試験を開始、9日午後から制御棒の引き抜き操作に入り、中越沖地震で停止して以来、約22か月ぶりに原子炉を起動した。今後、順調に試験運転が進めば40〜50日程度で試験運転は終了する見込み。地元三者が試験運転了承の条件とした同県技術委員会での「中間段階」と「最終段階」での審議・確認を経て、原子力安全・保安院による定期検査終了証の交付を受け、そのまま通常の営業運転に移行する。

泉田裕彦知事は7日、県議会議員協議会でこれまでの経緯と自らの考えを説明した。

その中で知事は、「当面は、無資源国日本において、原子力発電所なしに現在の生活に必要なエネルギーを供給し続けることは困難。加えて、地球温暖化問題の深刻化を考えると大量に二酸化炭素を発生させる火力発電は、早く抑制するべきとの指摘も妥当性が高い」とも指摘。安全性向上に向けた取り組みでは、「個人の責任追及より、不断の安全性の向上を促す仕組みの構築が重要で、国に対応を求めていきたい」と述べた。原子力発電所の耐震性については、「十分な冗長性が認められ、おおむね安全性は確保されているとの説明には説得力がある」と判断した。

泉田知事の判断が出されたことから、8日には泉田知事、会田洋柏崎市長、品田宏夫刈羽村長の連名で、東京電力の清水正孝社長宛に7号機の運転再開を了承する旨を正式に伝えた。

その中で三者は、「安全・安心を第一とする施設の運転、管理の改善に向け、不断の努力を積み重ねいくことを強く求める」として、@起動試験中の県技術委員会での審議A定期的な監視・検査の強化B新たな知見の収集と反映C発電所全体の体質改善――を要請した。

二階俊博経産相の談話

柏崎刈羽原子力発電所7号機は地震後長期間停止していたこと、耐震補強工事が行われていることなどから、通常の起動試験よりも慎重に安全確認を行うこととしている。他方で、同7号機の運転再開により、関東圏における今夏の電力供給に対する懸念が軽減されるものと期待している。他号機についても設備健全性と耐震安全性の評価を進めているが、今後とも1つ1つ厳格に安全確保を進めていく。

清水東京電力社長のコメント

8日、安全協定に基づき知事、市長、村長より、7号機の運転再開について了解をいただいた。これまで支援いただいた地域の皆さん、関係者の皆さんに改めて厚くお礼申し上げる。今後、最終的な健全性を確認することとしているが、了承に当たっての要請を真摯に受け止め、より一層の情報公開に努めると共に、安全を最優先に取り組んでいく。また、7号機以外の各号機についても、設備の健全性確認や復旧作業、耐震強化工事などについて、安全を第一に1つひとつ着実に、予断を持たず進めていく。


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