放医研 佐賀県に次ぎ神奈川県と 重粒子線装置導入で協力

放射線医学総合研究所(放医研)と神奈川県は4月14日、「研究・医療協力に関する協定書」の締結式を行い、米倉義晴・放医研理事長、松沢成文・神奈川県知事をはじめとする関係者が出席した。この協定により、重粒子線治療装置の導入や治療に関し相互協力を推進していく。放医研と自治体との協力協定の締結は、今年1月の佐賀県との協力協定に続き2件目。

神奈川県は3月、神奈川県立がんセンター総合整備の一環として「重粒子線治療装置整備基本構想」を取りまとめた。今年度に重粒子線治療装置の調査設計、来年度以降に基本・実施設計を行い、約3年間の工事期間を経て、2014年度中の治療開始を予定している。

重粒子線治療施設は現在、横浜市旭区で建替中の新がんセンター敷地内に設置され、病院棟と地下通路で接続する。完成すれば年間1,000人の患者を治療可能となる。放射線治療装置(リニアック)を4台設置するほか、高性能のCTやMRIを導入するなど最新のがん医療体制を整備していく。

重粒子線治療は、従来の放射線治療に比べ、正常な組織への損傷を低く抑えながら身体の深い部分にあるがんにピンポイントで照射が可能。従来のX線では効果が上がりにくい肉腫等への治療効果が期待でき、肝臓がん、肺がん等の難治性がんへの高い効果も実証されつつある。副作用が少ないため、患者の生活の質を確保でき、手術が困難な高齢者等に対する治療法としても期待が寄せられている。


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