米DOE長官、2010会計年度予算要求で ユッカ計画を打ち切り

米エネルギー省(DOE)のS.チュー長官は7日、2010会計年度(2009年10月〜2010年9月)のDOE予算要求額を議会に提示し、ユッカマウンテン処分場計画に関しては昨年から始まった認可手続き経費として1億9,680万ドル(32%減)に抑えるなど、B.オバマ政権が正式に同計画を打ち切る判断を下したことを明らかにした。

放射性廃棄物処分に関する内訳説明文書の中で、DOEは同政権がユッカマウンテンでのさらなる用地取得や輸送、および追加のエンジニアリングなどの予算はすべて削除したことを明記。同計画の担当部署である民事放射性廃棄物管理局(OCRWM)用の予算は放射性廃棄物処分のための代替案開発および、同計画の打ち切りに最低限必要な額であると説明している。具体的には、放射性廃棄物法に基づいて米原子力規制委員会が実施している同計画の認可申請(LA)手続き継続に当てられる。また、プロジェクト運営費はこのLA活動支援のために再構築され、同計画に対する支援活動は最終的に、連邦政府計画の実施や公正な認可手続きのために法令や規制、指令が要求するものに限定される予定だ。

同政権はまた、使用済み燃料と高レベル廃棄物の管理・究極的な処分という連邦政府の責任を果たすために、代替方策を評価する特命の専門家小委員会を新たにを招集する方針だと強調。この課題を解決するための最良の取り組みについて意味のある議論の場とし、廃棄物処分に関する法定上の枠組み改定の基盤となる勧告を提供することになるとの見解を示した。

この委員会については、上院の議会スタッフがすでに共同法案の素案をエネルギー・天然資源委員会に提出。委員は連邦政府および地方自治体職員を除く専門的知見や経験を有する米国市民等の中から大統領が11名任命し、一政党からは6名までとしている。また、放射性廃棄物を安全に管理・処分する代替方策として、同委は@1つの処分場に深地層処分A現在のサイト内貯蔵場所に長期貯蔵するB1か所以上の地方貯蔵施設に長期貯蔵するC使用済み燃料を再処理するDこれらを組み合わせる、などについて調査する。得られた知見や結論、および勧告は2年以内に報告書にまとめ、大統領と議会に提出することになる。

なお、このほかの予算として、「原子力発電2010」プログラム予算は第3世代原子炉の技術開発等、計画期間が終盤に近づいたことから2,000万ドル(88%減)に減額。一方、第4世代原子炉の研究開発予算は前年度予算から1,100万ドル増額して1億9,100万ドルに。また、燃料サイクル研究開発費も高レベル廃棄物を長期間、安全に管理するための研究開発に必要ということで、32%増の1億9,200万ドルを計上している。


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