IAEA次期事務局長選挙 ベルギーなどから5名が立候補

国際原子力機関(IAEA)は4月29日、次期事務局長の再選挙について、天野之弥ウィーン代表部大使を擁立する日本を含め、加盟5か国の政府が前日までに正式に候補者名を同理事会のT.フェルキ議長に届け出たと発表した。

各候補者名は、日本の天野大使、3月の選挙で同大使と争った南アフリカ共和国のA.ミンティIAEA理事のほか、ベルギーのJ−P.ポンスレ元副首相、スロベニアのE.ペトリッチ元IAEA理事会議長、およびスペインのL.エチャバリ経済協力開発機構・原子力機関(OECD/NEA)事務局長。

工学修士号を持つポンスレ氏(59歳)は現在、仏アレバ社の上級副社長で、ベルギー政府では国防相とエネルギー相の経験もある。原子力関係では、ベルゴニュークリア社でFBR用プルトニウム燃料の研究開発に携わったほか、1991年〜95年まではベルギーの放射性廃棄物・濃縮核分裂性物質管理機関(ONDRAF)にも幹部として所属していた。

国際法の博士号を持つペトリッチ氏(73歳)はスロベニア(旧ユーゴスラビア)外務省入りする前は国際関係・国際法の教授としてスロベニアのリュブリャナ大学などで教鞭を取っていた。インドやネパール、米国、オーストリア、ブラジル、メキシコなどで現地駐在大使を歴任した経験がある。

エチャバリ氏(60歳)は産業工学および情報科学の修士号を保有。1975年にウェスチングハウス社のスペイン支社に入社し、同国のアルマラス原子力発電所やキャンセルされたレモニッツ原子力発電所のプロジェクト・マネージャーを務める。同国の原子力安全審議会(CSN)委員を務めたほか、2003年からはIAEAの国際原子力安全諮問グループ(INSAG)メンバーでもある。

フェルキ議長はこれら5名の候補者について、近々にも一本化のための非公式協議を開始する。次期事務局長は6月の理事会までに決定され、9月の総会で承認される予定だ。

1997年から3期務めている現職のM.エルバラダイ事務局長は続投しない意志を表明しているため、任期は今年11月30日まで。3月27日の特別理事会では、日本の天野大使と南アのA.ミンティIAEA理事に対して、理事国35か国による投票が行われたが、両候補とも当選に必要な3分の2の支持を獲得できず、選挙は新たに候補者登録からやり直しとなっていた。


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