原子力部会 燃料サイクルの論点整理 国民との相互理解でも議論 高レベル立地で 地域広報を強化

総合資源エネルギー調査会の原子力部会(部会長=田中知・東大院教授)は25日、経済産業省で会合を開き、核燃料サイクル、国民との相互理解促進・地域共生について審議した。

経済産業省事務局がまず、主な論点を整理して説明。核燃料サイクルについては、原子力政策大綱に定められているとおり、使用済み燃料の再処理と、回収プルトニウム・ウランの有効利用という基本方針を踏まえ、当面はプルサーマルを着実に推進する、としている。

再処理については、六ヶ所再処理工場の試験運転には時間を要しているが、スケジュールありきではなく、国、研究機関、電気事業者など関係者が一体となって取り組む必要がある、と指摘。

使用済み燃料の中間貯蔵についても、燃料サイクル全体の運営に柔軟性を付与する手段として重要とし、第二再処理工場の操業時期までに、5000トン規模の中間貯蔵施設が3〜6か所必要と見込んでいる。

高レベル放射性廃棄物の処分問題については、「一刻も早く文献調査に着手する必要がある」と改めて強調し、「これまでの全国向け広報よりもより実践的でかつ踏み込んだ地域広報を行うべきではないか」との方針を提起している。

国民との相互理解促進については、「国と立地地域の関係」をより信頼感のあるものとし、「公聴・広報」を着実に進めていく必要がある、としている。

ただ、昨今の国の広報予算全般の厳しい見直しの一環で、予算額が縮減傾向にあることから、「情報を受け取る国民が何を必要としているかの把握に努め、より効果的な事業を実施できるよう、事業の見直し・改善を絶えず実施していく必要がある」と述べている。その中でも、地域のオピニオンリーダーとの意見交換など、「国自らが『手間をかける』対話を、より一層行うことに重点を置くべきではないか」との方向性も示している。

次世代向けの教育の強化では、学習指導要領の改訂を受け、エネルギー・原子力の取扱を充実したが、今後は、教科書や副読本などの教材での記述、中学・高校教職員、出版社などへの積極的な情報提供、さらに教育現場で活用されるための具体的活用例の提示なども検討していく必要性を指摘している。

続いて電事連、日本原燃、原子力発電環境整備機構から、現在の取り組み状況などについて報告した。

委員からは六ヶ所再処理工場のガラス溶融炉の不具合問題がどの程度のものか、国民理解と全国広報の賛否、国と地方自治体との意見調整の制度的仕組みなどについて意見が出された。


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