ロシアがサンクトペテルブルクの造船所で 海上浮揚型原発の組立開始

ロシアの総合原子力企業であるロスアトム社は19日、サンクトペテルブルクにあるバルチック造船所(BZ)で世界初の海上浮揚型原子力発電所(FNPP)の組み立てを開始したと発表した。

原子力砕氷船用の舶用炉KLT−40S(出力3.5万kW)を2基搭載するバージ型(タグボートで曳航・係留)原発は「アカデミック・ロモノソフFNPP」と名付けられ、2007年4月にモスクワの北方セベロドビンスク市(アルハンゲリスク州)にあるセブマッシュ・プリドプリヤチェ造船所で製造が始まった。しかし、軍事関係契約の急増により、同造船所の作業は昨年8月にBZに移管され、ロスアトム社の傘下でFNPPの建設を担当するエネルゴアトム社は今年2月、BZと世界初のFNPP建設契約を締結した。

同社は2011年までに最初のFNPPを完成させ、2012年第2四半期までに極東カムチャツカ地方のビリュチンスクに配置・運転を開始する考え。また、2番目のFNPPは2010年秋に建設を開始し、カムチャツカ地方に隣接するチュクチ自治管理区のペベク港に係留する計画。同管理区当局とはすでに協定を締結済みとなっている。

建設工期は3〜3.5年と短く、費用は約3億ドル。発電だけでなく熱供給や海水脱塩も可能で、メンテナンスと放射性廃棄物の処理は専門企業が実施することになる。稼働年数は40年ほどで、燃料交換は10年に1回の頻度だと同社は説明している。

FNPPの利用は、自前の燃料資源を持たない上、燃料の輸送が難しいロシアの極北、極東地域などで特に適しており、可動式で大型河川の河床にも係留できるため、アジア太平洋地域の島国などでも活用が可能。エネルゴアトム社ではロシア用に最初のFNPP建設した後は、海外の顧客用に7基の建設を検討していく方針だ。


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