日本製鋼所 世界の原子力建設計画が進展 原子力部材堅調で最高益 年間600億円を受注 室蘭工場の増強工事も順調

日本製鋼所(永田昌久社長、本社・東京都品川区)は22日、東京都内で09年3月期の決算説明会を開き、世界的な金融危機の影響がでてきているものの、原子力部門の順調な進展によって、全社的には連結売上高2271億円、連結経常利益359億円と共に過去最高を達成した。

同社では、「金融危機の足もと業績への影響を最小限にとどめ、堅調なエネルギー関連製品を柱に、さらなる企業価値向上を目指す」との方針を打ち出している。

同社の事業構成は、大きく分けて、(1)鋳鍛鋼部門(2)鋼板・鉄構部門(3)その他機械部門(4)樹脂機械部門──の4部門からなる。鉄鋼製品関連事業のうち「電力・原子力」部門の売上高は前期比16.6%増の365億円となった。08年度の「電力・原子力」の受注高も、受注の前倒しと計画外案件の取り込みによって、前回予想から大幅に増加し前期比40.3%増の599億円となった。好調な受注増を受け、同部門の09年度の売上高は前期比24.7%増の455億円を見込んでいる。

同社の大型原子力関連製品は、世界の主流となっているPWRでは、一次系の原子炉圧力容器、蒸気発生器(SG)、加圧器、二次系の蒸気タービンのローター・シャフトと外側ケーシング、発電機のローターなどで、世界の主力重電メーカーに納入しており、輸出比率は約6割。「電力・原子力」部門の売上高365億円のうち、一次系の大型原子力部材は約3分の1を占める。

同社は、好調な海外受注に関連して、大幅な建設計画を発表している中国ビジネスについても説明。2020年時点で6000万kWの原子力発電所を稼働させる計画が浮上してきているとして、同社には大型原子力部材の鋳鍛造品を造る設備の「枠取り契約」が次々と舞い込んできているとしている。「枠取り契約」は契約時に“枠取り保証金”の支払いを受け、同社の世界最大級の1万4000トン水圧プレス機など製造機器の使用スケジュールを確保するもので、正式受注契約ではないが、今後の受注動向のさきがけになるもの。

同社では、世界的な金融不安の影響で売り上げが減少見込みの石油精製関連製品の代わりに、原子力関連機器の受注・製造に、さらに力を入れていく方針だ。

次期社長に内定している佐藤育男常務(鉄鋼事業部副事業部長)は、「37年間、(原子力関連の主力工場である)室蘭製作所に勤務し、平成16年から所長を務めてきた。大型投資を確実に実施し、技能・技術を伝承し、技術力・現場力をさらに進化させて、物づくり企業として発展していきたい」と挨拶した。


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