原子力機構等 透過性高いガンマ線で 隠ぺい爆発物を非破壊検知

日本原子力研究開発機構量子ビーム応用研究部門の早川岳人研究主幹ら、京都大学エネルギー理工学研究所の大垣英明教授、産業技術総合研究所計測フロンティア研究部門豊川弘之主任研究員の共同研究グループは、透過力の高いガンマ線により、厚い金属で厳重に遮へいされた爆発物を非破壊で検出する方法を発明した。

爆発物は一般に多量の炭素や窒素を含む。窒素と炭素の比や、窒素と酸素の比を同時に高い精度で計測することで、ダイナマイトやニトログリセリン等の爆発物の種類が特定可能となる。

同研究グループは3月に発表した「原子核共鳴蛍光散乱を用いた非破壊検査システム」で、これまで単一の放射性同位体の測定に限られていた手法を改良し、複数の安定同位体を同時に非破壊測定することを可能に。今回の原理実験で、新測定法の有効性を実証した。従来、特定のエネルギー幅を有するガンマ線を生成する手法が確立していなかったが、任意のエネルギー幅を生成できるレーザー・コンプトン散乱(LCS)ガンマ線源の発展にともない、当非破壊測定法が可能となった。

原理実証にあたり、爆発物の模擬物質として炭素と窒素を多く含むメラミンを用いて実験を行った。厚さ15ミリメートルの鉄と厚さ四ミリメートルの鉛で遮へいされたメラミンに4〜5MeVのエネルギー領域のLCSガンマ線を照射し、原子核共鳴蛍光散乱を用いて炭素と窒素の組成比を計測。メラミンの組成比と計測した組成比が一致することを確認した。

この手法で、コンテナ内部やトラック荷台の中に隠された爆発物の検知が可能となるほか、アルミニウムなど他元素も同時計測でき、様々な用途への活用が期待される。


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