日本照射サービスが東海村で 電子線照射施設を操業

住友金属鉱山の100%子会社である日本照射サービス会社は4月末から、電子線照射施設の操業を開始した。同施設は、コッククロフト・ワルトン型の電子線加速器(=上の写真)を擁し、最大電子線エネルギーは5MeV、最大出力は100kW。茨城県東海村の東海センター既存ガンマ施設(コバルト60線源、最大貯蔵量111ペタベクレル)に併設した。近年の照射需要の増加や多様化への対応が期待される。

電子線は、物質中の透過力が小さく材料への影響も少ない一方、エネルギー密度が大きいため処理時間が短縮できる。こうした特性により、ポリエチレン、ナイロン、電子部品など高分子材料の架橋・分解・重合等の改質処理を行うことができる。また、ガーゼや綿球などの医療機器、不織布などの衛生材料、医薬品・化粧品などの容器、シャーレなどの理化学機材の滅菌処理にも使用される。

同施設では、製品は梱包されたままトレイ(照射容器)に載せられてコンベア上(=下の写真)を運ばれ、加速器から発生する電子線により連続照射が行われる。自動反転機で表と裏の両面を照射できるので厚い製品や高密度の製品にも均一な照射が可能。また、バーコードによる製品管理とトレイ管理、トレイごとに加速器とコンベアの運転条件自動設定、注文・入荷・照射・出荷までの製品トレーサビリティ記録などを行う生産管理システムを導入。効率良く信頼性の高い放射線照射を行う。


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