経産省・保安部会小委で コミュニケーションのあり方を議論経済産業省の原子力安全・保安部会基本政策小委員会(委員長=村上陽一郎・東京理科大学科学教育研究科長)は5日、ステークホルダー・コミュニケーションのあり方について、集中的に議論した。 原子力安全・保安院からは、国民、事業者等とのコミュニケーションについて、論点が示され、規制当局と国民とのコミュニケーションに関しては、(1)問題意識や取り組み方針の先取り的かつ積極的な情報提供(2)規制プロセスにおける国民への積極的な情報提供と意見交換(3)国民の目線に立ってのその評価を規制活動に活かす広聴・広報活動の仕組の構築――のような点を「工夫の余地あり」とした。一方、事業者等とのコミュニケーションに関しては、安全規制に対する国民の信頼を確保すべく、原産協会などの民間機関や学協会の活動への期待も示唆した。 これに対して、立地地域の立場から、新野良子氏(柏崎刈羽原子力発電所の透明性を確保する地域の会)は、点検記録不正問題、データ改ざん問題、震災などに絡んだ東京電力、国、自治体との議論の経験を述べた上で、(1)安全に「安心」を配慮したルールやシステム作りを(2)国民に出されるトラブル情報などにも「安心」を加味した皆が合意できる分類を(3)関わりあるすべての組織の関係が「ほどよい緊張」と「友好」が図られ、いざというとき連携が図られることが「安心」に(4)相手の合理性をも認識したコミュニケーションを――などと要望した。 また、北村正晴・東北大学名誉教授は、意思決定における市民参加の実践として、「対話」活動の経験を紹介し、ステークホルダーの規定と選出の困難さなど、原子力問題でコミュニケーションを行う上での課題をあげた。その上で、相手側の主張やその背景について深く理解する「熟議」の成立をステークホルダー参加方式が機能する要件として掲げるなどした。 事業者側からは、武黒一郎・東京電力副社長が、同「地域の会」との係わりを通じ、「立地点という共通の土俵の中で『熟議』ができてきた」などとする一方、これを地域レベルから国レベルへ拡大していく必要を今後の課題として述べた。 この他、「都市部の消費者もステークホルダー。どういう立場の人を指すのか今一度考える必要」(秋庭悦子・日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会常任理事)、「『何をもっと知りたいのか』双方向のコミュニケーションを」(知野恵子・読売新聞編集委員)、「今後の地層処分を考えた場合、広報は全国レベルで行う必要」(草間朋子・大分県立看護大学長)といった意見があった。 |
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