スウェーデン フォルスマルクに最終処分場 処分場建設サイトを決定

スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB)は3日、原子炉から出る使用済み燃料の深地層最終処分場建設サイトとして、エストハンマルの海に面したフォルスマルク原子力発電所・隣接エリアに決定したと発表した。2002年から07年にかけて、もう1つの候補地であるオスカーシャムとともに現地で実施していたボーリング調査などのサイト調査の結果、同国で稼働する原子力発電所からの使用済み燃料をすべて、再処理せずに同地の地下約500メートルの結晶質岩盤上に直接処分することになった。SKBは今後、2023年の操業開始を目指して手続きを進めていく。

エストハンマルを選択した理由としてSKBは、(オスカーシャムと比べて)(1)処分場レベルの岩盤が乾燥しており亀裂が少ない(2)掘削の必要な岩盤が少なく、埋戻し材が少量ですむ――などの技術的な特長を指摘。長期的に廃棄物の安全性を保つには重要な特性だとしている。地上施設は環境影響を軽減できるよう、既存の産業エリアに建設。同エリア内のインフラに対してはアクセス用の交通手段を整備する。今後は2010年を目処に、国の放射線安全当局および環境裁判所に設置許可申請書を提出するため、環境影響評価や安全分析に関する文書も含め、諸手続きの準備を進める計画だ。

処分場サイトの選定にあたり、SKBは93年から2000年までの間に国内8か所でフィージビリティ調査を終了。同年11月にサイト調査をオスカーシャム、ティーエルブ、エストハンマルの3つの自治体で実施することを決定した。過去7年ほどはもっぱら、自治体の承認が得られたオスカーシャムとエストハンマルでのサイト調査に作業は絞られていた。オスカーシャムには原子力発電所のほか、使用済み燃料・中間貯蔵施設「CLAB」やエスポ岩盤研究所、キャニスター研究施設が立地するなど、元よりSKBとの関係は良好。今年の春、同社は両自治体と地域支援協定を結んでおり、処分場サイトに選定されたエストハンマルには同協定に従って、インフラ整備や事業開発、教育等のための予備出資金として20億クローナの25%が、選定からはずれたオスカーシャムには立地による恩恵が得られなかった代償として残りの75%が提供される。

世界ではこれまで、2001年にフィンランドがユーラヨキ自治体のオルキルオトを使用済み燃料地層処分サイトに決定したほか、02年には米国がネバダ州ユッカマウンテンを使用済み燃料およびガラス固化体の処分サイトに決定(※政権交代により取り消し)。スウェーデンはこれらに次いで3番目に高レベル放射性廃棄物処分サイトを決定したことになる。


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