米B&W社 小型モジュール炉設計を公表 増設が容易、既存インフラで利用可能

バブコック&ウィルコックス(B&W)社は10日、原子力ルネッサンスで顕在化してきた必要性を満たす最良の原子炉設計として、北米にある同社の既存工場で製造が可能で、設備の増強も容易という電気出力12.5万kWの小型モジュール原子炉の設計を公開した。

「mPower」の登録商標で呼称される同設計は、濃縮度5%のウラン燃料を使用し、受動的な安全性を備えた第3世代++の新型軽水炉(ALWR)。B&W社によると米国の既存の原子力規制や供給チェーン、電力会社の操業インフラの枠内で認証・製造・操業が可能で、具体的には次の様な特徴があるとしている。

(1)12.5万kWと小型で、立地サイトや送電網の制約に関わらず需要に応じて設備の増強が容易(2)受動的安全性など実証済みの新型軽水炉設計であるため、許認可手続きの最小限化や安全性および信頼性の向上が図れる(3)米国とカナダにある既存工場で原子炉蒸気系統設備(NSSS)を製造し、建設サイトまで鉄道で輸送が可能(4)5年間燃料交換なしの運転サイクルを予定しており、運転コストを軽減できる(5)使用済み燃料の貯蔵用プールを備えた地下式格納構造により、60年の耐用期間中に廃棄物の短期的管理とセキュリティ改善が図れる――など。

B&W社はすでに、mPower炉プロジェクトの開発と許認可および納入を促進する新たな事業ユニットとして「B&Wモジュラー・ニュークリア・エナジー社」を設立。2011年にも設計認証(DC)を申請する予定である旨を、米原子力規制委員会(NRC)に通知済みであるほか、北米や欧州およびその他の地域で顧客と規制上の要求項目を満たせるよう、原子炉の開発と顧客支援を目的としたグローバル・チームも結成した。

さらにテネシー峡谷開発公社(TVA)からは将来、同炉を建設する可能性のあるサイト評価のための同意書(LOI)を受領。TVA、およびTVAの地元自治体と協力電力会社で構成される企業連合との間では、同地域の発電設備多様化を念頭に、同炉を複数建設する可能性調査についても了解覚書(MOU)を締結済みだとしている。


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