【Fresh Power Persons − 座談会編 −】 「低炭素革命」リーダー国の条件 「日米主導構造」の検証と原子力


日本のイニシアチブ・国益 産業界交え「国づくり」徹底議論を


国の長期ロードマップ明確化の時

司会 そうした視点も含め、日本が中長期のCO排出削減でイニシアチブを執りながら、環境・エネルギー分野を日本経済・国益の拡大につなげていく展望を聞きたい。

小宮山 今回、麻生首相が発表した中期削減目標の数字を見て感じた印象は、数値目標を厳しくすることで失業率が増加し、可処分所得が減少する、全般的に経済的にネガティブな見通しを強く感じた。削減目標数値を厳しくすることで新産業を育成し、雇用を促進する、そうした経済成長と温暖化対策の双方の視点に立つ議論はあまり行われなかったように思う。米国のオバマ大統領は、「緑の資本主義」という新理念で米国社会の構造転換を強く主張したが、日本は数値目標は示したが、日本社会を将来に向けて具体的にどのように転換するのか、マイルストーンをどのように描くのか、長期ビジョンの策定作業がほとんどなかったように思う。そこが非常に残念だ。企業というものは、そうした長期的な国のビジョンがない限り、持続的な設備投資も実行できない。結果的に、新産業の創出も起こらない。日本政府は、今年4月に経済危機対策の一環として省エネ家電や電気自動車等を購入する際に補助金を拠出することを決めたが、単なる需要の先取りにしかならない可能性もある。日本全体が一丸となり、日本が取り組むべきエネルギー・環境政策の長期的ビジョンを一層明確化する必要がある。


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