【Fresh Power Persons − 座談会編 −】 「低炭素革命」リーダー国の条件 「日米主導構造」の検証と原子力民間のアイデア・活力生み出し活用を 秋元 そこは、実際に中期目標策定に参画した者として反論がある。グリーン投資がどこへ向かうかというビジョンは必要だし、長期ビジョンが若干足りないとの指摘はそのとおりだと思う。ただ、投資効果を入れていないということはまったくなくて、経済モデルの中では、その投資による経済活性化効果も計算し、すでに分析結果にしっかり織り込まれている。また、グリーン・ニューディールは、「需要の先取り」という話もあったが、財政出動すれば経済は上向き、投資を促進して、短期的にはいい形になる。問題は、将来にそのつけを回すことになるかどうかだ。財政出動の相乗効果が出て他産業に波及・循環すれば、多分、経済全体が活性化し、将来的にも良い効果が生まれると思う。今想定もできないような相乗効果については見込んでいないのは事実だ。 一方、あまり楽観視できないと思うのは、エネルギーという特殊性にある。エネルギーというのは、例えば電力はその典型だが、何からつくっても得られる効用は同じなので、もし温暖化問題がなければなるべく安いエネルギーを使い、その分資金的余裕が出れば他に回せばいい。財源や資金は限られているので、エネルギーへの投資がふえれば、その分、別部門で負になる産業が出るだけに、全体をどうバランスをとっていくのか。その上で成長が見込まれる産業はどこか。それは、必ずしもエネルギーだけではなく他産業でもあり得る。 従って、もちろん政府がグリーン的温暖化対策へ舵を切っていかないといけないことは間違いないが、それはエネルギーだけなのか。エネルギーが経済全体に占める割合は5%程度なので、エネルギー産業が活性化したとしても、そこだけで食べていくわけにはいかず、全体としてどういう産業を育成していくかを見極めなければならない。 なお、政府は比較的硬直的であまり賢い選択ができない場合が多い。政治の限界もあるので、もう少し民間のアイデアとか活力を活用していく必要がある。そのためにも、ある程度、産業にも温暖化の規制圧力をかけながら、その中からアイデアが出てくることに期待する部分もあるだろう。ただ、将来への投資を促すような資金的余裕を持たせておかないと、短期的対策だけに偏る。そういう全体バランスの中で、将来に向けどう進んでいくのかを考えていかないといけない。 |
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