IAEA 事務局長に天野氏 特別理事会で選出

国際原子力機関(IAEA)は2日、M.エルバラダイ事務局長の後任を選出する特別理事会をウィーンの本部で開き、複数回の投票の結果、在ウィーン日本政府代表部の天野之弥大使(62歳=写真)を選出した。IAEA事務局長に日本人が就任するのは初めて。天野大使は今年の12月1日に第5代事務局長として正式就任する。任期は4年。

最終的に同日の事務局長選挙では、天野大使のほか、南アフリカから上級外交官のA.ミンティ氏、スペインのL.エチャバリOECD原子力機関(NEA)事務局長の3氏の選挙となった。理事会は35か国から構成され、事務局長選出には3分の2以上の24か国以上の支持が必要。

最初の投票で最下位となったエチャバリ氏を除き、次に残った2人の決戦投票を3回行ったものの、3回とも天野氏23票、ミンティ氏12票で変わらなかったため、次に1位・2位の優劣を決める投票を行った。その結果はやはり同数であったため、まず1位の天野氏の信任投票に入り、天野氏信任23票、不信任11票、棄権1票となり、この棄権1票が出たことにより、選出に必要な3分の2が23票となったことで、天野氏の事務局長就任が、この日だけでも6回目の投票で決着した。

同氏は3日の理事会で次期事務局長に任命され、最終的には9月のIAEA総会で正式に選出される。

天野之弥(あまの・ゆきや)氏 1972年東京大学卒後、外務省入省。
81年国連局軍縮課主席事務官、93年総合外交政策局科学原子力課長、97年仏マルセイユ総領事、99年官房審議官(軍備管理・科学担当)、02年総合外交政策局軍備管理・科学審議官(大使)、04年同局軍縮不拡散・科学部長(大使)、05年8月からウィーン国際機関日本政府代表部大使。この間、IAEA理事会議長(05年10月〜翌年9月)、NPT運用検討会議第1回準備委員会議長(07年4月)を務めた。

国際原子力機関(IAEA) 原子力平和利用の推進と核兵器への軍事転用防止を目的に1957年設立。現加盟国数146か国。本部オーストリア・ウィーン。2009年度予算約3億ユーロ(約398億円)、日本の分担金は米国約25.7%(約102億円)に次ぐ約16.5(約66億円)、同予算の他に技術協力基金が8500万ドル。職員数は約2200、うち日本人の職員は50人。


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